日本主導でチャイナフリー・サプライチェーンの構築 印豪に交渉=印報道

2020/08/21
更新: 2020/08/21

中国共産党の政治・軍事的台頭とともに、製造業のグローバル戦略において中国一極依存のリスクが浮き彫りになった。日本政府が主導して日本、インド、オーストラリアは三国間サプライチェーン(供給網)回復計画(SCRI)の立ち上げに向けた交渉を進めている。

インドの日刊経済紙エコノミック・タイムス(Economic Times)は8月19日、関係筋の話を引用して報じたところによると、3カ国は来週までに経済貿易閣僚会議を開き、初会合の日程を調整する。

報道によると、日本の経済産業省は同計画案への参加をインド当局に呼びかけ、その緊急性を強調した。日本当局は11月までにSCRIを立ち上げる意向だという。

通常、インドはこうした親米国との貿易計画を反中的だとして、中国との関係を見て慎重に検討する。しかし、インド政府は中印国境紛争のような不安定材料の多い中印関係から、中国を排除したサプライチェーンを代替する同計画には、政府高官レベルでも前向きに捉えているという。

インドのモディ首相は8月15日、独立記念日の演説で、計画案を演説テーマの一つとして取り上げた。首相は「グローバル企業はわが国が『サプライチェーンのハブ』になる可能性を見出した。私たちも世界のために努力しなければならない」と述べた。

SCRIは、インド太平洋を「強い経済共同体」にするための外国直接投資(FDI)を誘致し、既存の二国間供給ネットワークをベースに、パートナー国の相互補完関係を構築することを目的としている。また、中国を排除したインド太平洋地域全体のサプライチェーンの能力を高めることを目的としている。

日本はインドのほか、オーストラリアの参加を要請しており、SCRIの対象範囲は今後、東南アジア諸国連合(ASEAN)に広がる可能性もあるという。

中国共産党は知的財産権の盗用、中共ウイルス(新型コロナウイルス)流行の隠ぺい、香港国家安全維持法の強行に加え、東シナ海、南シナ海、西太平洋などの海域や中印国境での軍事的挑発を繰り返し、国際社会との緊張を高めている。

中共ウイルスのまん延をきっかけに、世界各国の製造業は中国への依存からの脱却を図る「脱中国化」に向けて動き出している。日本政府は新型コロナの緊急経済対策の一環として、総額2435億円にも及ぶ補助金を用意し、中国からの生産移管を支援している。

インドは現在、FDIの関連規制を緩和し、そのうえ65億ドル規模の奨励パッケージを決定。中国から移転しようとするメーカーを積極的に誘致している。

また、豪レアアース供給大手・ライナス(Lynas)社は今年7月、米国防総省と契約を締結し、レアアース(希土類)の調達網において、中国依存の解消に向けた合意に達している。

(翻訳編集・王君宜)