フィリピンでは、オンライン賭博に従事する中国人労働者が急増している。当局は、違法に中国人を入国させたとして、移民当局の5人を解雇した。大統領府報道官が2月19日に発表した。
この問題は、リサ・ホンティベロス(Risa Hontiveros)上院議員が2月中旬の議会で指摘した。内部告発を受けた同議員によると、空港勤務の出入国管理局職員が、中国人から最大1万ペソ(約2万円)の賄賂を受け取り、不正に入国させたという。同報道官は記者団に対し「ドゥテルテ大統領は、最近の収賄計画に関与したとされる移民局の職員と従業員を解雇した。職員は、許可のないオンラインカジノ企業(POGO)に従事する外国人の入国を不正に容易にした」と述べた。報道官は、この問題を「深刻な汚職」と表現した。
中国ではオンラインを含め国内で賭博事業が禁止されている。フィリピンをはじめ近隣アジア諸国では、中国人が運営する中国人向けのオンライン賭博が盛んだ。フィリピン内国歳入庁によれば、2019年1~9月までの月間で、POGOから合計17億9000万ペソ(約39億円)の所得税が徴収された。国の税収の1%に及ぶ。
フィリピンは娯楽賭博を政府公認の58社に限定している。正規雇用者は8万6000人あまりで、そのうち8割以上は中国人だ。しかし、乱立した違法賭博サイトは約3万あるとされる。大半は中国人が運営しているが、不法就労も多い。
中国当局はオンラインカジノによる資金の海外流出を問題視して、ドゥテルテ政権に取り締まるよう呼び掛けていた。フィリピン政府は2019年4月、新規の運営ライセンス発行を停止し、違法カジノの営業を停止にした。
ホンティベロス上院議員の調査報告は、フィリピン議会における、中国ビジネスの違法労働の懸念の高さをうかがわせる。 マニラで性奴隷を強いられる労働者が増加し、顧客のほとんどが中国人だという警察の報告もある。
出入国管理局によると、フィリピンには20万人以上の中国人労働者が居住し、多くはPOGO業界関係者だという。
フィリピン保守勢力は、ドゥテルテ政権の親中傾向の問題を指摘する。 中国移民の増加は、国家安全保障上の懸念に繋がる。フィリピン国防省は2019年、軍事施設の近くに中国系カジノが設立していることを憂慮しているとした。同省は、中国共産党政府によるスパイ工作の可能性を指摘している。
(翻訳編集・佐渡道世)
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