最近のカナダの世論調査では、カナダ人の90%が、中国には法の支配と人権が欠けていると考えていることが明らかになった。また、70%は、カナダ政府が中国と取引する場合、貿易よりも人権が重要であると考えていることが示された。
元カナダの外交官マイケル・コブリグ氏とビジネスマンのマイケル・スパバ氏は1年以上に渡り、中国で拘留されている。中国当局は2人の拘束から数カ月後に、スパイ活動と国家機密窃盗の容疑で逮捕したと発表した。しかし、カナダ現地紙グローブ・アンド・メールによると、正式な起訴手続きは行われていない。
カナダの調査会社アンガス・リードが12月10日に発表した世論調査によると、カナダ人による対中感情は昨年より悪化している。中国に対して否定的な見方をしている人は66%で、前年の51%から増加した。さらに、回答者の70%は、中国との取引において、人権は貿易よりも重要であると考えていることがわかった。回答者の69%は、カナダ政府が中国通信技術大手・華為技術(HUAWEI)の5Gネットワーク構築への参加を禁止することを希望している。また、回答者の90%は、中国共産党政権による法の支配と人権保護の主張は信頼できないとしている。
カナダ人の中国に対する否定的な感情が高まっていることは驚くべきことではない。12月、カナダのなかで中国人が最も多い都市リッチモンドでは、バス停の広告スペースに、香港の逃亡犯条例改正反対への支持を呼び掛けるポスターが公認を得て掲げられた。しかし、何者かが赤いスプレーで「中国」という文字を上から落書きした。バンクーバーの中国自由民主主義人権推進協会・高清麗氏は、中国人がカナダにおける表現の自由という文明精神、法の支配をまったく学んでいないことを嘆くとコメントしている。
リッチモンド市はこの落書き行為は、公共物の破壊であり、公益に害を及ぼすと注意喚起した。
また、リッチモンドの中学校で、中国本土からの生徒が香港の生徒を脅迫する問題が起きている。カナダの国営CBCによると、11月下旬、香港出身の生徒のロッカーに「一つの中国」と題した文章が貼り付けられていた。香港の生徒に対して「売国奴」「裏切者」などといった侮辱的な言葉が書かれていた。
こうした貼り紙が数日後に再び貼られた。匿名で「中国人」とだけ称する人物が作成した手紙には、香港の生徒に対して「脅すつもりはなく、文明的な振る舞いをするよう指導している」と説明し、中国共産党を賛美し、香港の法治と民主化運動を否定する内容が書かれていた。生徒はこの手紙をCBCに送り、12月4日にその内容が報道された。
同学校の別の生徒は、授業中に、香港の自由と民主のために努力するという考えを説明したため、昼食時間に食堂で何人かの中国人留学生に集団暴行を受けた。
リッチモンドの高校生は10月、香港の民主化運動に支持を示すため、メッセージ付きのメモ用紙を大量に貼り付けた香港民主化運動の象徴「レノン・ウォール」を作成した。しかし、親中派の支持者らによって、この展示は取り壊された。
ラジオ・フリー・アジアの報道によると、事件について知る生徒・孫さんは 「学校内には中国人留学生が大勢集まり、自分たちだけの世界に住んでいるようだ。他人の意見に耳を傾けようとしない。カナダの自由な学習環境を台無しにしている」と述べた。
(翻訳編集・佐渡道世)
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