マレーシア内務省は23日、中国当局が推進している巨大経済圏構想「一帯一路」に関するマンガ、『互いに利益をもたらすウィンウィンの一帯一路』の発行を禁止すると発表した。同政府は、マンガは共産主義と社会主義を宣伝し、公共の秩序や社会の安全に危害を与える恐れがあると指摘した。マンガの作者と画家は警察当局の取り調べを受けている。
地元メディアの報道によると、マレーシア・中国商務理事会の首席執行員である丘光耀(チウ グアンヤオ)氏が同マンガを編集し、マレーシア人マンガ家の張宝玲氏が作画を担当した。両氏は中国系である。また、丘氏はマレーシアのアジア・コミック・カルチャー・ミュージアム(Asia Comic Cultural Museum)の館長を務めおり、華人を支持基盤にする同国民主行動党の元党員で、親中派とされている。
同マンガの中国語版と英語版は今年4月に発行された。マレーシア語版は最近公開された。アジア・コミック・カルチャー・ミュージアムは同マンガ2500冊を一部の中高学校に寄贈したため、国内から批判の声が上がった。マレーシアの各野党は、同マンガの発行には政治的な企てがあると非難している。教育省は、各学校からマンガの回収を命じた。
内務省の声明では、同マンガは共産主義などを宣伝するほか、共産主義の闘争理論を支持し、共産主義思想に関して誤った情報を与え、「読者、特に若い世代がマレーシアの歴史について正しくない認識を生じる可能性がある」とした。
内務省は同国の出版法に基づき、同マンガの3カ国語版の発行を禁止すると決めた。また、市民が同マンガを不法に印刷・出版し、販売し、または保有する場合、最高3年の実刑判決などを言い渡されるという。
同国政府は昨年12月、マレーシア共産党の歴史書「マレーシア共産党歴史画集(一)」を発売禁止処分とした。
(翻訳編集・張哲)
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