世界で最も忙しい国際空港の1つである香港国際空港は、8月12日夕方以降のフライトをすべて停止した。武装警察による残虐な鎮圧に抗議するために、約5000人の若者を中心とした香港民主派が、空港内で連日、平和的な座り込みデモを行っていた。
犯罪者の本土引き渡し条例改正案に端を発した抗議デモは、8月11日に週末10週目を迎えた。同日夜、警察が地下鉄駅構内で催涙弾を発射し、近距離で非武装の若者にゴム弾や胡椒スプレーを発射するなど、暴力的な鎮圧が目立った。
米国のミッチ・マコーネル(Mitch McConnell)上院議員(共和党)は、中国中央政府に対して「どんな暴力的な取り締まりも全く許されない」と警告した。マコーネル議員は8月12日にSNSで「北京は香港の自治と自由を侵害しようとしている。香港市民は、中国共産党に勇敢に立ち向かっている」「世界は見ている」と投稿した。
ホワイトハウスは同日の声明で、香港の動向を監視し続けており、週末の衝突の後、暴力を控えるようすべての当事者に促したと述べた。
ロイター通信に応えた米政府高官は「大統領が言ったように、香港市民も中国市民もほとんどの人々が民主主義を求め、望んでいると思う」と述べた。
「ドイツの声」によると、オーストリアの香港駐在外交官は12日、香港国際空港のデモ現場を視察した。デモ参加者たちは外交官に、より多くの国の政府外交官に直接現地を見てもらうよう求めたという。
香港警察は高圧放水砲の配備を用意しているとの情報がある。人権団体アムネスティは放水砲を人口の密集した都市で使用した場合、人に重傷を負わせかねないと警告している。
警察当局が同日に発表した報道資料によると、警察は9日以降、違法集会、警察官への暴行、攻撃兵器の所持の罪で、少なくとも149人(15歳から53歳までの男性111人、女性38人)を逮捕した。
ホワイトハウスの公式署名サイトでは、香港民主派が立ち上げた署名運動が注目されている。香港警察による武力鎮圧の激化にともない負傷者が増加しているため、国際的な医療チームを派遣するよう要望している。
空港でのデモンストレーション
週末には、警察が地下鉄駅でデモ参加者に向けて至近距離で催涙ガスやゴム弾を発射。衝突の中で、ある若い女性はゴム弾に右目を直撃され、重傷を負った。失明の恐れがあるという。
警察隊のエスカレートする暴力行為はさらなる抗議を招いた。空港における座り込み集会に5000人以上の若者が参加した。抗議者たちは、「HK Police Are Killing Us(香港警察は私たちを殺している)」「An Eye for An Eye(目には目を)」「自ら最高責任者を選びたい」などのスローガンを掲げた。また、ならず者が警官を装ったと思われる「闇の警察」を非難する言葉も見られる。
座り込みデモに参加した一部の女性たちは、香港警察の残忍さに抗議するため、目に眼帯を当てたり、絆創膏を付けたりした。
12日午後4時50分、香港国際空港は、空港内外のすべてのフライトをキャンセルし、抗議行動が「深刻な混乱」を引き起こし、すべての乗客にできるだけ早くターミナルビルから出るよう求めた。
発表後、多数の乗客が施設を去った。一部の民主活動家も、空港で警察による鎮圧が強化されると予想して、デモ参加者への退去を促した。真夜中まで、一部の抗議者はまだ残っていた。メッセージングアプリTelegramの抗議者チャットグループでは、空港で誕生日を迎えた旅行者の「ハッピー・バースデー」を歌うデモ参加者の姿が映し出された。
同じチャットグループには、空港集会の参加者のために食べ物や飲み物を運搬する香港市民をとらえた写真があった。
抗議者たちがデモの議論や計画のために使用するSNS、Lihkg.comでは、平和的な抗議と非暴力を貫くことが繰り返し強調された。また空港デモでは「(香港の)最も誠実な側面を来訪者に届けたい」と書き込まれた。
13日午前6時、フライトは再開した。
北京と香港の両政府は、抗議者に対して、ますます攻撃的な主張をあらわにし、「2カ月以上もの間、暴力的かつ過激」と非難している。香港・マカオ政策と両特別行政区との関係を管轄する国務院香港マカオ事務弁公室は、この2週間で3回の会見を開いた。報道官は、週末の分散作戦で負傷した警察をねぎらい、鎮圧作戦を称賛し、抗議活動について「テロリズムの芽が出つつあり重大な犯罪行為だ」と非難した。
抗議活動が「テロ」だとの見解が発表されたことについて、今後、反テロ法を適用される可能性が出てきた。
中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は、中国の武装警察部隊は訓練のため深センに招集されたと伝えた。
(キャシー・ヘイ/翻訳編集・佐渡道世)
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