【写真】香港市民の抗議10週目、警察隊の武力行使で血だらけの若者 衝突が激化

2019/08/12
更新: 2019/08/12

香港市民による政府の「逃亡犯条例」改訂案への反対運動は10週目に入った。8月11日に行われたデモで、香港市民は容疑者本土移送条約改正案の完全撤回、抗議者の逮捕・拘束の停止など、5つの要求を繰り返した。いっぽう、香港警察によるゴム弾の至近距離発射や、駅構内で催涙弾発射、ならず者による抗議者への暴力行為など、緊張が高まっている。

中央部コーズウェイベイ(銅鑼湾)そごうデパートの近くで、香港警察は抗議者を乱暴に取り押さえ、地面に押し当てて負傷させた。民主派メディアの香港フリープレスは、私服警官とみられる男に路上で身体を取り押さえられ、倒れている若い男性を映した動画を報じた。男性は普通語と広東語で「ごめんなさい。抵抗しないのでもう離して。私の前歯は折れた…」と叫んでいる。男性は、アスファルトに顔面を押し付けられており、顔半分は血まみれになっている。

また、警察の放ったゴム弾が右目を直撃し、重傷を負った若い女性の写真にもネットユーザーが関心を寄せている。地下鉄タイクー駅では、武装警察集団がエスカレーターで上がってくる若い抗議者たちを上から蹴り、警棒で叩いた。また、駅構内ではわずか2、3メートルの距離でゴム弾を無防備な抗議者に放ったり、抗議者の頭髪やカバンを引っ張って、床や壁に乱暴に押し付けて拘束する様子が映っている。

中心街の路上では、黒服に黒いマスク姿の集団が、警察による抗議者の拘束に協力している様子も撮影されている。現地メディア・無線電視記者が追跡して、広東語で「あなたたちは警察ではない。どこから来たのか?誰なのか?」と聞いても、「答えられない」と述べて立ち去った。

香港の自治権を掲げる「香港衆志の党」主席・羅冠聡(ネイサン・ロー)氏は、「11日だけでも、多くの反人道罪が行われた。異常だ。国際社会は香港における野蛮な警察の行為に関心を払い続けてほしい」と訴えた。

香港市民は香港政府に5つの要求を出している。1.逃亡犯条例改正案の完全撤廃 2.暴動と定義したことの撤回 3.逮捕されたデモ参加者の釈放 4. 警察隊による暴力行為への追及と調査実施 5.普通選挙の実現

林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官は、香港警察のデモ隊制圧行動について11日、記者会見で、政府は調査を行わない、警察自身が行動を調査すると述べた。

9日、英国のドミニク・ラーブ外相は、林鄭月娥長官との電話会談で、「平和なデモの権利」の保護を伝えた。「暴力が(香港市民の)多くの合法的行動を侵害してはならない」と付け加え、武力鎮圧への反対を明確にした。

香港警察当局6日の発表によると、この2カ月間で、1800発の催涙弾が使用され、500人を超えるデモ参加者が逮捕された。

香港航空当局は12日、抗議活動の展開を理由に、すべての航空便の運航を取り消した。ネットユーザは、香港国際空港現地の抗議は平和的で、資料を配布して座り込みを行っているだけであり、全便欠航にする理由にならないと主張している。一部には、香港情勢の混乱が領域外に伝わらないようにする措置ではないかとの見方がある。

銅鑼湾でデモ隊に催涙弾を発射する警察隊(大紀元)
北角城市花園社区で、拘束される若い香港市民(大紀元)
8月11日、九龍半島で警察はデモ隊に催涙弾を発射(大紀元)
催涙弾を浴びて苦しむ若者を警察が拘束(大紀元)
催涙弾に苦しむ白人女性(大紀元)

(編集・佐渡道世)

関連特集: