条例改正案で揺れる香港情勢 富豪らが資産を海外移転

2019/06/17
更新: 2019/06/17

香港市民は16日、中国国内へ犯罪容疑者を引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例改正案の完全撤回を求めて、先週に続き大規模な抗議デモを行った。香港政府は改正案の審議延期を発表したが、撤回しない姿勢を示している。情勢が不透明ななかで、香港の富裕層が次々と資産を海外に移し出していることが報じられた。

ロイター通信14日付によると、政治・経済リスクに敏感な香港の富豪らはこのほど、資産を海外に移し始めた。香港の資産運用アドバイザーは、顧客の1人は米シティバンク香港支店に預けていた1億ドル(約109億円)の資産をシンガポールに移転したと話した。

報道は、このほどドル高・香港ドル安が進み、香港ドルの対ドル為替レートは1米ドル=7.8香港ドル台を上回り、20年ぶりの高値を付けたことが、急激な資金流出とドルへの高い需要を反映したとの見方を示した。

また、数年前に中国本土から香港へ移住した中国人富豪は、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、「香港の富豪らは今、できる限り全ての資産を海外に移すそうとしている。(改正案が可決すると)人権、資産の保障がなくなるので、逃げるしかない」と述べた。

香港の行政長官に直属するシンクタンク、中央政策組の顧問を務めた劉細良氏は、富豪のほかに、香港企業も撤退を始めていると語った。劉氏によると、香港国際空港の第3滑走路の建設事業に参加すると表明したある企業は、香港の政治・経済に「問題が生じた」との理由で、事業参加保証金の返還申請を放棄したうえ、事業の投資を取り消した。

香港経済学者の徐家健氏はRFAに対して、「周りの富豪たちは海外への移住と投資に着手している。香港の最も裕福な人たちは数年前にすでに資産を外国に移した」と話した。

劉氏によれば、富豪らは「逃亡犯条例」改正案によって、香港の世界金融センターとしての地位を確立させた司法制度の崩壊を最も危惧している。

(翻訳編集・張哲)