欧州連合(EU)欧州委員会が12日に発表した対中国戦略の行動計画で、近年、EU域内で経済・政治的影響力を拡大する中国当局を「競合相手」と位置付けた。EUは、4月9日に開催されるEU・中国首脳会議で、中国当局に対して経済の開放と市場アクセスの障壁撤廃を求める。ロイター通信が18日報じた。
報道によると、中国の王毅・国務委員兼外相は18日、ブリュッセルを訪問しEU加盟国の外相らと会談し、EU側の懸念を払しょくしようとした。王外相は会談で、EUと中国の互恵ウィンウィンの経済・貿易関係を再び強調したが、EUは中国当局への警戒感を強めている。EUは21、22日にブリュッセルで首脳会議を行い、これまでの対中国戦略の見直しを議論する予定。戦略の見直しはここ数年来初めてだ。
王毅外相との会談前、リトアニアのリナス・リンケヴィチウス(Linas Linkevicius)外相は記者会見で、「中国当局は拡張主義者だ。中国当局はルールを順守しなければならない」と述べた。
EUは、4月9日にブリュッセルで開催される「EU・中国首脳会議」で、中国が経済を開放する期限を設けることについて合意を目指し、同時にEUと中国の貿易関係を深化するという中国側の約束を果たさせることに努めていく。ロイターが入手したEU側が作成した共同声明の草案で明らかになった。
6ページに及ぶ草案は、「EUと中国は2019年夏までに、欧州企業が直面する中国市場アクセスの一連の障壁と条件について合意する」としている。障壁の撤廃期限については、「遅くとも2020年のEU・中国首脳会議まで」となっている。EUは今まで、欧州企業の市場アクセスに対する中国当局の規制を批判してきた。
同共同声明は中国側の同意を経て、4月9日にジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長、ドナルド・トゥスク欧州理事会議長と中国の李克強首相との会談後、正式に発表される予定。
EU外交筋はロイターに対して、共同声明は中国がEUの開放性をフルに利用しておきながら、外国企業の参入制限をなかなか廃止しないことへのいら立ちを反映していると、指摘した。
EUは12日に公開した「対中戦略見解」報告書において、10項目の行動計画を明示した。第5世代移動通信規格(5G)ネットワークに関するEU共通のセキュリティー政策の必要性、海外企業によるEU域内で直接投資への審査法令の実施、「国家補助金」によるEU域内への市場歪曲の影響を排除すること、中国当局に対して国家補助金や強制技術移転問題を含む既存の共通約束の履行を求めるなどが盛り込まれた。
ロイター通信は、EUが最大の貿易相手国である中国に対して、今までの穏健的な姿勢から強硬姿勢に転じたと分析した。今後、中国企業による投資活動に対して、EUはより厳しく規制するとみられる。
(翻訳編集・張哲)