中国系米国人3人が中国から出国できず 米補佐官「G20で解決促す可能性も」

2018/12/01
更新: 2018/12/01

中国政府は「経済犯罪」に関与した疑いがあるとして、元共産党幹部の家族、中国系米国人(妻子3人)の出国を禁止している。この件についてボルトン米大統領補佐官は、トランプ大統領が20カ国・地域(G20)首脳会議で中国に解決を促す可能性があると表明した。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、元共産党幹部の妻、サンドラ・ハンさんは自身の父親が病気のため、今年6月、娘(27)と息子(19)を連れて中国に帰国した。数日後、ハンさんは公安当局に拘束され、「闇の留置所」と呼ばれる軟禁場所に移送された。三人とも米国籍を取得している。

それから数カ月間で、子ども2人は3回にわたってアメリカに戻ろうとしたが、いずれも中国当局に、有効期限不明の「出国禁止令」により空港で足止めされた。

子どもの父親は、中国の大手国有銀行である、交通銀行広州支店の元トップだった劉昌明容疑者。90億元(約1470億円)の不正融資に関わったとされ、2007年に国外に逃亡し、現在は国際手配されている。中国政府が海外に逃亡した腐敗官僚を帰国させるため、外国の国籍を持つ家族を「人質」として拘禁したとみられる。

この報道を受け、ボルトン補佐官(国家安全保障問題担当)は先月27日、米政府系ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材で、中国政府に拘束された米国民について、トランプ大統領はG20首脳会議で、中国の習近平国家主席との会談の際に提起する可能性を示唆した。「この件でトランプ大統領と意見を交わした。ここでは話の内容や大統領の反応を漏らすことができないが、これは間違いなく私たちが強く関心を持つ問題である。トランプ大統領は習主席と一連の議題を検討するため、本件を提起する可能性は十分ある」

いっぽう、同氏は同28日、ツイッターで「これらのアメリカ人が家に帰ることは許可されるべきだ」と投稿し、高い関心を示した。

アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスで11月30日と12月1日に行われるG20首脳会議で、米中両首脳は夕食会を予定しており、貿易摩擦を中心に議論する見込み。

米国務省は今年1月、渡航安全情報を更新し、中国政府は恣意(しい)的に中国へ渡航・滞在する外国人を拘束したり出国禁止措置を取ったりするとし、中国(香港を除く)を「十分注意」のレベル2に引き上げた。

(翻訳編集・王君宜)