重慶市は、来年の全国統一大学入試資格に「政治審査」を追加し、不合格者は試験を受けられないとの方針を打ち出した。時代遅れの政策に保護者から批判が殺到した。
重慶市教育当局が6日に発表した2019年全国大学入試要項は、受験生は事前に政治審査を受ける必要があると定めている。「四つの基本原則(社会主義の道、人民民主主義独裁、中国共産党の指導、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想)に反対する人、道徳品行の悪い人、犯罪行為のある人は審査を通過できないとした。
武装警察や公安関係の大学に入学を希望する学生は政治審査を2回受ける必要があるという。
9日、福建省も同様な方針を示した。
メディアの報道を受け、中国のインターネット上で批判の声が上がった。ソーシャルメディア・微博では「高考政審(政治審査)」が一時、検索ランキングの6位となった。
「党を愛していないからと言って、教育を受ける権利を剥奪すると言うのですか?」「昔のように、『根正苗紅』(文化大革命時代の政治用語。家族3代が貧農、あるいは労働者で、資産家や地主などの階級に属さない者を指す)の出身者なら大学に行ける。それの再来なのか?」「文化大革命時代に逆戻りしようとしている。彼たち(中国共産党)はやはり大学生を強く警戒している。六四天安門事件の再来を恐れているからだ。だから、大学を党校に変えるつもりだ」
また「政治審査をしても、なぜ汚職腐敗幹部がこんなに多いのか」「数千万元、1億元以上を横領した高官も(昇進のとき)政治審査を受けたはずだけど、その結果はどうなったか」と嘲笑した人もいた。
中国世論から強い非難を受けて重慶市教育当局関係者は8日、「記者の誤解だ」とし、「もともと、思想と生活の態度を調べると言いたかった」と釈明した。
重慶市当局はその後、誤解を招いたとして謝罪したが、世論の批判は収まる気配がない。
ネット上では、『政審你大爺(ばかばかしい政治審査)』を題とする記事が注目を集めた。
同記事は冒頭で「この国の多くの政策は馬鹿げている」と切り捨て、「この国の大学のほとんどは国立だ。国立大は税金で賄われている。税金を徴収するとき、われわれの『道徳、品行』を気にしてたか?なぜわれわれの子どもが大学入試を受ける時、『道徳、品行』を言い出すのか」「この愚かな規定を作った人、憲法を調べたのか?納税者に意見を聞いたか?」などと糾弾し、「勘違いするな。国民に養われていることを忘れるな」と痛烈に批判を浴びせた。
「思想の自由を奪われた子どもに創造力が育つのか。だから、中国はいまだに半導体もボールペンのボールも作れない」と最後に付け加えた。
フランス国営放送RFI中国語電子版によると、この記事は中国人ネットユーザーによって拡散され、当局は削除に追われている。現在、国内ネット上で同記事をみることはできなくなったが、検閲に引っかからないスクリーンショットがまだ転載されている。
(翻訳編集・張哲)
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