香港、英紙FT記者のビザ更新拒否 説明求める署名活動に1万5千人参加

2018/10/09
更新: 2018/10/09

香港政府が5日、香港外国人記者グラブ(FCC)副会長を務める英紙フィナンシャル・タイムズビクター・マレット記者(58)の査証(ビザ)更新を拒否した問題で、FCCや香港記者協会など6つの報道関連団体がこのほど、林鄭月娥行政長官に対して理由の説明を求める署名活動を行った。中国当局の影響力が拡大する香港では、報道の自由が懸念されている。

FCCなど6つの団体の関係者によると、8日まで約1万5000人の署名が集まった。関係者らは、香港で今後中国当局による言論統制が一段と進められると強い懸念を示した。

署名活動に参加した「香港記者協会」の楊健興・主席は、マレット記者へのビザ更新拒否は中国当局や香港政府による「政治的報復措置だ」と批判した。

香港独立を唱える政治組織、香港民族党の召集人を務める陳浩天氏は8月14日、FCCの招きを受け講演を行った。中国外交部(外務省)駐香港特派員公署は当時、FCCに対して講演の中止を指示した。

しかし、FCCがこれを拒否し、講演は予定通りに行われた。講演で陳氏は、中国を「植民地支配者」と非難した。マレット記者は同日の講演会の司会者を務めていた。

香港政府は9月24日、香港民族党に対して活動禁止命令を出した。

いっぽう、英外務省は5日に発表した声明で、「香港の高度な自治や言論・報道の自由は『一国二制度』によって認められており、尊重すべきだ」と強調した。香港政府に対してビザ更新拒否について「早急に説明するよう」求めた。

フィナンシャル・タイムズ(FT)も5日、「香港でこのような事態に直面したのは初めてだ」とし、「理由の説明も受けていない」と批判した。

中国当局は、新疆ウィグル自治区やチベット自治区での人権問題を報じる外国人記者に対して査証更新を拒否したことがある。FTによれば、FTグループで働く記者が香港でビザ更新を拒否されたのは初めてだという。

香港の立法会(議会)の涂謹申議員はサウス・チャイナ・モーニングポストに対して、香港政府は今回のビザ更新拒否を通じて、「香港は、中国本土の他の都市と同じになった」とのメッセージを国際社会に送ったと批評した。

フランス通信(AFP通信)や米ボイス・オブ・アメリカなどの複数のメディアによると、米国の駐香港総領事館、在香港米国商工会議所、欧州連合(EU)駐香港・マカオ事務所などは相次いで声明を出し、香港の言論・報道の自由に危惧を示した。

(編集・張哲)