王毅外相の「精神日本人」批判が波紋、ネットユーザー「毛沢東も精日」

2018/03/12
更新: 2018/03/12

中国外交部の王毅・部長(64)は8日、全国人民代表大会(全人代)関連記者会見で、日本に好感を持つ国民、いわゆる「精日分子」について、「中国人の堕落者だ」と発言した。これを受けて、中国国内世論が非難を強めた。一方、一部の中国人ネットユーザーは海外のソーシャルメディアを通じて、外相の発言が当局の民族主義を利用したプロパガンダ宣伝だと批判した。

中国政府系メディアによると、中国国内インターネット上では、けなす言葉としての専門用語「精神日本人」、あるいは「精日」が今はやっている。

中国紙・法治日報は、「精神日本人とは、自らの行動や思想などにおいて、日本人であるとみなしている中国人のことだ」とし、「精神日本人は家の中で畳を使い、顔絵文字をよく使い、道路を渡る時車が来ていなくても赤信号で止まるなど、日本社会のルールで自らを律する人たちだ」と説明する。

国内の報道によると、2月20日、中国江蘇省南京市紫金山の日中戦争跡地では、中国人男性2人が旧日本軍の軍服を着て写真撮影したのち、インターネット上に投稿した。南京警察当局は22日、それぞれ四川省と江蘇省出身の20代の男性2人を身柄拘束した。また、2人に対して15日間拘禁した。警察当局は「法に基づいての措置だ」としたが、どの法律なのかを明確に示していない。

また、同月23日上海市市民の孟氏が、ソーシャルメディア・微信(ウィーチャット)で、「南京大虐殺で30万人が殺された。少なすぎる」など書き込んだ後、上海警察当局に5日間拘留された。

8日の記者会見の終盤で、会場から離れようとしている王外相に対して、ある中国人の記者が「南京大虐殺の被害者を侮辱した精日分子らの行動が民族主義のレッドラインを超えました。外相はどう思いますか」と質問した。これに対して、王外相長は前述の発言をし、怒りをあらわにした。

王外相の発言を受けて、全国政治協商会議(政協)の一部の代表が、精日行為を厳罰する「国家の品格と民族の尊厳を守る法」の立法を提案した。国内政府系メディアや専門家が次々と擁護する姿勢を示した。

厳格な言論統制の下にある中国国内では、当局の主導で精日への批判が強まっている。

しかし、国内で利用できないツィッターなど、海外のソーシャルメディアでは、王部長の発言を非難する声が上がっている。

「王外相が精日を糾弾した。他のネットユーザーが直ちに、精ソ連、精ロシア、精趙(趙とは中国共産党を意味する隠語)の堕落者がいっぱいいると指摘した」

「王外相から初めて精日という言葉を知った。外相は、精日分子を厳罰するよう立法すると言った。では、日本の侵略行為に感謝して日本に戦争賠償を求めなかった毛沢東、周恩来の精日行為も批判しなければならない。日本製品が大好きな中国人がたくさんいるので、これも精日行為に当たるのか?厳罰するのか?」

「毛沢東と中国共産党こそが中国人のクズだ!1961年、毛が日本社会党所属の国会議員・黒田寿男氏と会った時、日本の『皇軍』が大半の中国を占領していたからこそ、中国の人民にとって他に出路がなかった。だから、自覚して武装しはじめたのです。多くの抗日根拠地を作って、その後の解放戦争[日本敗戦後の国共内戦]において勝利するための条件を作りだしました。日本の独占資本や軍閥は『よいこと』をしてくれました。もし感謝する必要があるならば、私はむしろ日本の軍閥に感謝したいのです、と発言した。この発言は中国政府系の「中新網」が大いに報道したのに」

王毅外相は大学時代に日本語を専攻し、2004年9月から07年9月まで駐日本中国大使を務めていた。

(翻訳編集・張哲)

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