中国社会安定維持費、昨年の国防費を約20%上回る

2018/03/08
更新: 2018/03/08

中国当局の発表によると昨年、社会安定維持の支出が大幅に増加した。市民の抗議活動に神経をとがらせた当局による民衆への監視強化を浮き彫りにした。

財政部が5日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で公表した年度予算報告によると、2017年中国の社会安定維持費用は同当局の歳出の6.1%を占めた。約1兆2400億元(約20兆7080億円)規模とみられる。国防費である1兆200億元(約17兆340億円)より、約21%も上回った。

米紙・ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)7日付は、社会安定維持費の拡大は、中国当局が全国範囲に、特に新疆ウイグル自治区とチベット自治区において、市民に対する監視を強化していることを意味する、との見方を示した。

同報道によると、17年の新疆ウイグル自治区の社会安定維持費は前年比92%増の91億ドル(約9655億円)となった。当局は、監視カメラや自動顔識別システムの設置強化、軍人によるパトロールの強化、警察官の増員などを通じて、より強固な監視ネットワークを構築した。また、「社会不安分子」を識別するため、当局は市民に対して採血し、DNAデータを収集している。

中国紙・社会科学報(10年5月27日付)によると、09年の全国社会安定維持費は5140億元(約8兆5838億円)で、はじめて国防費を大幅に上回ったとした。この年の国防費は4807億元(約8兆277億円)だった。

当局の公開資料によると、09~13年まで、社会安定維持費規模が国防費規模を上回った状況が続いた。

当局は、国内外の世論批判を恐れ、14年以降、社会安定維持費の予算や報告を公表しないことにした。

WSJによると、今年の全人代では、社会安定維持費はパーセンテージの形で予算報告の図表で示された。理由は不明だ。

また昨年、全国の社会安定維持費は前年比12.4%増加したという。

(翻訳編集・張哲)