朝鮮半島 平昌オリンピック

韓国政府、北朝鮮からの芸術団に飲食料や燃料を支援

2018/02/06
更新: 2018/02/06

韓国統一省は6日、平昌オリンピックに合わせて来韓する北朝鮮からの芸術団に対して、滞在中の食料、電力、燃料を提供すると記者団に述べた。一団は同日夕方、韓国北部の日本海側にある港に到着予定だ。

140人あまりで構成される「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」を乗せた北朝鮮の貨客船「万景峰(マンギョンボン)92号」は6日17時ごろ、競技が行われる江陵(カンヌン)に近い港に到着する。

一団は、9日の平昌オリンピック開幕に合わせ、8日に江陵、11日にソウルでそれぞれ公演する予定。チケット入手倍率は200倍近くに跳ね上がったという。伝えられるところによると、機材や楽器を持ち込んだ芸術団の先発隊がすでに5日に韓国入りした。

韓国英字紙コリア・ヘラルドによると、韓国統一省は記者団に対して、北朝鮮のスポーツ団も参加した2002年の「釜山アジア競技大会」を先例にして、三池淵芸術団にも支援を行うと述べた。

釜山アジア大会では、韓国政府が北朝鮮代表団650人に対して飲食料、電気、燃料を提供した。同大会では開会式で、南北の合同行進が行われた。統一した衣装をまとった美女応援団の姿は、マスメディアの注目を集めた

2002年9月、釜山アジア競技大会で応援に駆け付けた北朝鮮の美女団(Chung Sung-Jun/Getty Images)

1月の北朝鮮との実務者協議で、韓国政府は、北朝鮮からの芸術団の安全性と活動環境を最大限に保障することを合意した。

韓国統一省は6日の会見で、万景峰92号と芸術団への支援が米国の経済制裁の対象外となるか、ワシントンに確認をとっていると明かした。

韓国メディアが伝えるところによると、韓国当局は米国の制裁に触れぬよう、支援物質に米国産の製品が含まれないようにするという。同様の事案で、南北選手団の共同トレーニングのために来韓した北朝鮮スキー選手のためのチャーター便は、米ボーイング機ではなく仏エアバス機が選ばれた。

国連制裁では、北朝鮮に対して、石油製品の輸出は50万バレルを上限にすると定めている。韓国政府は米国と国連との燃料供給計画を協議し、国連安全保障理事会の制裁委員会に報告すると述べた。

このたび支援のために供給される燃料は、芸術団の滞在中の暖房や、往復するフェリーの燃油のために使用されるという。

韓国政府は2010年、同年に発生した韓国海軍哨戒艦撃沈事件を受け、対北独裁制裁として北朝鮮船籍の韓国への入港禁止を定めている。しかし、このたびの北朝鮮芸術団については、「平昌オリンピックの成功を支援する」動きであるとして、万長峰92号の入港を制裁の除外とした。

(編集・佐渡道世)

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