河野太郎外相は1月28日から29日までの24時間の中国北京滞在スケジュールで、李克強総理、王毅外交部長、楊潔篪国務委員(元外交部長)と会談した。米政府系ボイスオブアメリカ(VOA)によると、日中双方は関係改善で一致したが、日本側の改善に向けた具体案には中国側は慎重な姿勢を崩さなかったという。
河野外相は安倍総理からの要請を受け、日中関係改善の具体案を中国側に伝えた。一例は、李総理の今春訪日、延期されている日中韓の3国会談の東京開催、安倍首相の今年中の訪中と、習近平国家主席の早期の訪日だ。このうち、李総理の訪日について、中国側は早急に実現に向けた動きを取るとの意向を示した。
日中は1972年の国交正常化以来、4つの共同声明や基本文書を結んでいる。VOAが伝える日本の消息筋によると、河野外相は「第5の政治文書」を取りまとめ、習近平氏の訪日に合わせて発表するとの意向があったという。しかし、中国側はこれに応える明確な回答を避けた。
河野大臣から日本政府として、昨年に続く、1000人規模の中国青少年を日本に招へいする対日理解促進をテーマとする「3つの架け橋」プロジェクトの実施を伝達、中国側は歓迎姿勢を示したという。同計画では▼1地方間交流▼2青少年交流▼3文化・スポーツ交流の3つを掲げる。2018年度は特に「大学生,オリンピック・パラリンピック,サッカー」の要素を重点的に盛り込むという。
(動画:2016年日中青少年文化プロジェクト/外務省)
1月28日には、両国の外相は「日中社会保障協定」の実質合意を宣言した。日本の外務省によると、双方は「互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」との点を再確認したという。
河野大臣は、東シナ海は「平和・協力・友好の海」とすべきであり、日中関係の改善を阻害しかねない事態を引き起こすべきではないと述べ、具体的に、1月11日に中国海軍の潜水艦及び水上艦艇が尖閣諸島周辺の接続水域に入域した事案について上げ、再発防止を強く求めた。
安倍晋三首相は1月31日の参院予算委員会で同問題に言及し、「毅然(きぜん)かつ冷静に対応していく。安倍政権の決意を見誤るべきではない」と強い口調で述べた。潜水艦潜航に対しては「万全の態勢を取った」とした。
同問題について、中国政府は、海自の護衛艦が先に接続水域に入ったためだと、行動を正当性を主張している。
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北朝鮮の核ミサイル問題についても日中外相会談は議題に上がった。双方は関連の安保理決議を完全に履行しながら、日中の共通目標である朝鮮半島の非核化に向けて引き続き連携していくことで同意した。
また河野氏は、邦人拘束事案について言及し、改めて問題提起し、前向きな対応を求めた。しかし、王毅氏は中国の法律に則って事案を処理したと述べ、問題解決に向けた距離が縮まらなかった。
(翻訳編集・佐渡道世)
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