国際社会が北朝鮮問題に注視するなか、台湾海峡でも緊張が高まっている。中国軍はこのほど、環台湾島飛行中の上空映像を公表した。中国の軍用機は先月から頻繁に台湾周辺空域で飛行しており、台湾メディアは中国の脅威が「エスカレートしつつある」と報じた。
映像は空軍パイロットが撮影したものだという。中国軍の公式微博(中国版ツイッター)は17日、同2分間の映像を公開した。BGMは定番の愛国ソングで、字幕は愛国メッセージ、映像自体は飛行中の空の景色だ。台湾メディアは、映像はプロパガンダ目的で、台湾に対する「さらなる脅迫」とみている。
10月下旬に閉幕した第19回党大会以来、中国海・空軍の台湾海峡での巡航が活発化になっている。台湾政府の発表では、11月22日にミサイル搭載の戦闘機を含む軍用機10機が台湾を囲んで飛行して以来、今月17日までに、軍用機や軍艦が計7回以上に台湾を回って巡航した。台湾側の戦闘機が緊急発進したが、衝突は起きなかった。
台湾国防部は17日、中国空軍の運-8輸送機が同日に台湾付近の海域で長距離飛行し、「特別なことは起きなかった」と発表。台湾の空・海軍が警戒に当たっているとした。
中国軍が巡航を活発化させた背景には、今年9月米議会が可決した米台双方の軍艦寄港を許可する法案があるとみられる。1979年に米国は中国との国交樹立にともない、台湾と国交断絶した。それ以来、軍艦の寄港など米台間軍部の往来はなかった。
中国政府は新法案に猛反発し、今月11日、李克新・駐米中国大使は「米国の軍艦が高雄(台湾)に到着する日は、中国が武力で台湾を統一する時になる」と宣戦布告ともとれるメッセージを発した。
中国官製メディアは国内軍事専門家の見方として、中国空軍のこうした飛行訓練は「意味深い」と分析し、今後は「島を囲む」から「島を縦断する」に変わりうると言及した。台湾側の反応を試しているという見方がある。
(翻訳編集・叶清)
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