コントロール不能となった中国の宇宙ステーションが地球に向かって落ちてくる。中国政府は落下時に大気圏再突入で「機体の大部分は燃え尽きる」と主張しているが、残骸が地上に落ちてくる危険性が指摘されている。しかも、どこに落ちてくるのか、全く予測不可能だという。専門家が英メディアの取材に応えた。
「2017年後半から2018年初めの数ヶ月だろう。しかし、いつ、どこになるかを正確に予測するのは不可能だ」中国初の宇宙ステーション「天宮1号」の落下について、米ハーバード大の天体物理学者ジョナサン・マクドウェル氏は述べた。英ガーディアンが10月13日に報じた。
中国の野心的な宇宙開発の1つである「天宮1号」は2011年に打ち上げられた。「天上の御殿」の意味として名づけられた8.5トンの基地は全長10メートル、直径3・5メートル。2年間の運用計画のなかで、3回のドッキング、2回の有人ミッション、1回の軌道維持任務を経験した。
任務を終えた「天宮1号」は4年間「スリープモード」になっていた。しかし2016年9月、中国政府は技術的な理由により同機は制御不能になったと発表。軌道上に留まることができなくなり、徐々に高度を下げて地球に落下するとした。当時の記者会見で、中国有人宇宙プログラム室(CMSEO)報道官の武平氏は「私たちの計算と分析では、宇宙ステーションのほとんどの部分は落下中に燃え尽きる」と述べた。
しかし、マクドウェル氏は、エンジンのような密度の高い一部のパーツで、100キロほどの重さの残骸が、大気圏を突き抜けて地上にとどくと推測している。落下予測地点は北緯43度〜南緯43度と広範囲だ。
毎日新聞の取材に対して、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、落下の可能性が指摘されていることは認知しており、「情報収集に努めている」とコメントした。
地球の面積の7割は海であり、また人口密集地に残骸が落下する確立は低い。人工衛星や打ち上げロケットの残骸である宇宙ゴミの落下はしばしば報告されている。ミャンマー・タイムスによると、同国北部カチン州で2016年11月10日、中国語が書かれた全長3・7メートル、直径1・6メートルほどの筒状の金属片が、空から落ちてきた。幸いにも負傷者は出ていない。地元当局は、前日に打ち上げられた中国の人工衛星の発射との関連を疑っているという。
(翻訳編集・佐渡道世)
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