フィリピン南部で武装衝突 ドゥテルテ大統領が戒厳令 過激派を警戒

2017/05/30
更新: 2017/05/30

5月23日以来、フィリピン南部のミンダナオ島で反政府武装勢力と治安部隊の間で武力衝突が続いている。これに対し、ドゥテルテ大統領は26日付けでミンダナオ地域に戒厳令を発した。同国カリダ検事総長によると、南部ミンダナオ島の武装勢力には、過激派組織「イスラム国(IS)」と関連があるインドネシアやマレーシアの過激派戦闘員も含まれている。

反乱を起こしたマウテグループ(Maute group)と呼ばれる反政府武装勢力は、フィリピンのミンダナオ島を占領しようと試みたとされる。戦闘は5月23日から始まり、5月26日までに11人の治安部隊兵士と31人の武装勢力戦闘員が死亡している。また、武装勢力が6人の市民を殺害したとの情報も寄せられている。

フィリピンのホセ・カリダ検事総長は26日、射殺された戦闘員のうち6人はインドネシアやマレーシアか出身の外国人戦闘員だったと明らかにした。イスラム国と関係のある他国の戦闘員が、フィリピンで活動することはまれ。

ミンダナオ島は経済発展が遅れているため貧困層が多く、キリスト教徒とイスラム教徒の対立も絶えない。反政府武装勢力はこの不安定要素を利用して支配地域を拡大しようとしている可能性もある。

カリダ氏は記者会見で、以前は地方の武装勢力だったマウテグループがイスラム国に接近し、「イスラム国の一つの拠点とするため、ミンダナオ島の占領を狙ったのではないか」とマウテグループの計画について明かした。また、フィリピンの一部の若年層が過激派に転じる可能性について懸念を示した。

フィリピン治安部隊は23日より武装ヘリコプターと特殊部隊をミンダナオ島に送り込んだ。ドゥテルテ大統領は26日、混乱が全国に広がるのを防ぐためにミンダナオ島で60日間の戒厳体制を維持すると発表した。

(翻訳・文亮)