臓器移植の闇ブローカー主犯格 韓国に帰国し自首

2016/09/27
更新: 2016/09/27

中国でいまだに行われている違法な臓器移植。中国の複数の医療機関と結託して、韓国人患者を中国へ送り込んでいた臓器移植の闇ブローカーの主犯格が、韓国へ帰国し自首した。容疑者はインターネットで移植希望者に呼びかけて「わずか1、2週間の待機時間で移植手術ができる」と説明していた。

ネットに複数のサイト開設 臓器移植を仲介

9月12日、韓国の釜山警察は自首するため帰国してきた韓国人の金容疑者(43歳、男性)を空港で逮捕し、臓器移植法等に違反した 疑いで起訴した。

金容疑者は2006年から2011年にかけて、仲間の趙容疑者(53歳、男性)と共謀し、インターネット上に臓器移植患者の会などの名称で複数のサイトを開設して、臓器移植の仲介を行っていた。容疑者らは、慢性腎不全、肝臓がん、重度の肝硬変、心臓病などの患者に対し、中国の病院で「わずか1、2週間の待ち時間で臓器移植を受けることができる」と宣伝していた。

中国政府は外国からの圧力を受け、2008年の北京オリンピックごろから外国人への臓器移植を禁止する措置を取り始めた。ただしこれは、表向きの話でしかない。この闇ブローカーは上海の病院13カ所と共謀し、韓国人患者に中国人の名義を借り入院させ移植手術を斡旋していた。

2011年、臓器移植の闇斡旋が発覚され、趙容疑者らは逮捕された。金容疑者は長期にわたり中国で不法滞在を続けていたが、警察からの間接的な説得に応じる形で帰国し、韓国の警察へ自首した。

韓国警察は、臓器移植を受けるために患者が名前を偽り、中国人を装っていたとしても、中国側の病院の協力がなければ臓器移植は不可能だと強調している。さらに、こうした方法により、容疑者らは87回にわたって、肝臓、腎臓、心臓の移植を希望する患者を中国に連れて行き、移植手術費用として合計約60億ウォン(約5億4600万円)以上を受けとり、その中から仲介費として約6億ウォン(約5500万円)を得ていたと発表した。

また、手術中に死亡した患者や、帰国後まもなく亡くなった患者も存在するほか、帰国後に副作用が現れて、再び手術が必要になるという症例も多いことを明かし、実際には、87回よりもっと多くの臓器移植手術が行われた可能性もあるという。

 新名簿見つかる 問題さらに明るみになるか

その他、移植手術を受けた患者の日記を調査する中で、122人の患者名簿が新たに見つかったため、捜査範囲を拡大するとともに、中国側の公安局とも連携して中国人ブローカーの摘発を行う計画があると発表した。

韓国の三大メディアの1つである中央日報は、新唐人テレビの行った、ある中国人医療従事者に対するインタビューを取り上げた。かつて天津市第一医院の臓器移植センターで働いていたというこの中国人は、メディアが外国人患者を騙して移植手術へと誘導する手口を明らかにした。

韓国の大手メディアによる報道や、韓国警察の介入により、中国の違法な臓器移植産業が韓国社会に及ぼす危害について、韓国はすでに大きな注意を払っていることが分かる。

今回逮捕された金容疑者は、中国の違法な臓器移植産業の内情を熟知しているとみられ、この問題がさらに明るみなる可能性がある。

(翻訳編集・島津彰浩)