北朝鮮の金正恩・総書記の御用楽団「牡丹峰(モランポン)楽団」と、朝鮮人民軍の「功勲(コンフン)国家合唱団」が12日に訪中親善公演をすべて直前にキャンセルし、北朝鮮に帰国した理由について、「金総書記の水爆保有発言に中国政府が怒る」「金正日・故前総書記の4周忌追悼説」など様々な憶測が飛び交うなか、大紀元本部の専属コラムニスト・夏小強氏は「公演を計画・実施させようとする江沢民派と、それと反対に、北朝鮮と距離を保ちたい習近平陣営の攻防戦(あつれき)の結果」と指摘した。
諸外国メディアが報道している「金正恩氏の水爆保有発言が引き金」「金氏の元恋人とされる楽団の団長に関する報道が過熱化したため」「個別の団員が逃亡を図ろうとした」「故・金正日総書記の4周忌に起因するエンタメ自粛」などの理由説について、前出の夏小強氏は「表面上ではそれなりに解釈できるだが、どちらも根本的な理由ではない」と述べた。
ミサイル発射や軍事的挑発行為など、国際社会でも度々騒動を起こす北朝鮮との関係について、最高指導部の主導権を長きにわたって掌握していた江沢民派は「取り込む姿勢」だったが、そのあとの習近平政権は「距離を置く姿勢」で大きく変わった。トップに就任した習近平氏は「必ず北朝鮮の最高指導者に会ってから韓国側と会う」という従来の北朝鮮重視の慣例を破り、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と5回ほど会談したものの、金正恩氏とは一度も会っていない。一説では金氏の訪中アプローチが中国側へ何度もあったという。
中国共産党中央対外連絡部の公式サイトなどの発表から、今回の親善公演は10月はじめに朝鮮労働党創建70周年記念式典に出席した江沢民派の主要メンバーである劉雲山・中国共産党政治局常務委員が当時北朝鮮側と決定した、と読み取れる。
国際社会が当初から「冷え込んだ両国の関係改善を図るための政治的な活動」とみるなか、夏氏は「江沢民派が習近平政権の足元を乱すための工作」と指摘した。
(翻訳編集・叶子)
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