北京市政府は、2017年に行政公共機関の全体または一部分を北京郊外にある通州区の「行政副都心センター」に移すことを明らかにした。中国国内メディアが、11月24日の北京市委員会第11期第8回全体会議の決定を報じた。
北京市は首都としての機能が低下している。水資源の不足や人口増加、交通渋滞、環境汚染、北部の砂漠化などの問題が悪化を続け、多くの遺跡や文化も消失している。重度の大気汚染のため住民の健康危害も著しい。
11月25日付け中新網によると、北京市は、今回審議通過した市の「第13回5カ年計画」に基づいて、首都としての機能を分散させるため、2017年に各行政・事業機関の全体または一部分を、郊外に新設する「行政副都心センター」に移すことを明らかにした。
北京市通州区は、市中心から約20キロ離れた南東部に位置する、河北省や天津市と隣接する街だ。通州区を副都心として開発する構想は1990年代からあり、高速道路や地下鉄などのインフラ整備が進んでいた。今年7月に通州を副都心とすることが正式に決まり、現在、すでに中核地域の建設工事が全面的に着工している。
北京市の機能移転、東京も参考に
市政府の担当者は「世界的にも、首都は『大都市病』という問題に直面している。ソウルや東京、パリなどは副都心の建設によって解決を図ってきた」と述べ、通州副都心の構想が、新宿を副都心と位置づけて都庁を移転した東京の例も参考したことも明かした。
経済地理学の専門家は、澎湃新聞(ザ・ペーパー)に、北京市の行政公共機関、研究機構は段階的に移されることになり、関係者の家族を含め、100万人に影響を与えるだろうとコメントした。
海外メディアによると、中央政府は北京市に対して、非首都機能を担う部門を副都心へ移転するよう求めたが、北京市は渋り続けた。これについて習近平主席は「北京市が移転しないなら中央政府が移転する」と強い態度を示したため、すぐさま北京市は通州区への移転を承認したという。
(翻訳編集・山本アキ)
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