【大紀元日本11月20日】経済下押し圧力が高まり、景気減速が続く状況下で、中国政府は再び、これまでの景気刺激策を踏襲し、需要を上回る投資によって景気テコ入れ策を強化している。それによって、地方政府の債務負担はさらに悪化、過剰融資がバブル崩壊を引き起こす懸念が一段と広まっている。
中国国家発展改革委員会(以下発改委)は先月16日から今月5日までの21日間、鉄道16線と空港5などを含む21件のインフラ整備計画を認定した。総投資額は合計で約7千億元(約13.5兆円)に達する。
中国大手証券会社、申銀万国証券研究所の上級研究員・郭磊氏は、発改委の動きから、中国当局がいわゆる「安定成長」を図ろうとする狙いが鮮明になったと述べた。民生証券研究所の副院長兼首席研究員の管清友氏は、不動産投資が長期的に弱気相場となっており、供給過剰問題が解決されず、製造業の内部投資動力も不足、経済の安定はやむをえなく、依然として大規模な投資とインフラ建設に依存していると指摘した。
積み上がる貸付バブル、中国経済ハードランディングへ
中国当局の統計データによると、今年第3四半期の実質GDP(国内総生産)は7.3%で、過去6年間において最低値を記録した。
英紙デイリー・テレグラフ (The Daily Telegraph)のジェレミー・ワーナー(Jeremy Warner)副編集長は、中国当局の公式データに水増しがあるため、実際の成長率はおそらく発表数字の半分にとどまると分析した。
最近、米国経済の回復傾向が鮮明になり、米ドルは上昇軌道に乗っている。ワーナー副編集長はまた、中国経済が過去のパターンを固守する場合、ハードランディングは避けられないとの見方を示し、中国が抱える最大の問題点は債務に支えられた成長モデルに積み上げられた膨大な貸付バブルであり、ドル高がさらに進めばバブル崩壊の可能性が高まると強調した。
3日付の英紙フィナンシャル•タイムズは、中国の主要経済指標が、安定成長を維持するのは難しくなったと示し、中国経済が長期的に景気低迷の軌道に入っていることを明らかにしたと伝えた。
また、中国の融資活動は、国内総生産(GDP)の成長率をはるかに超えて拡大し、地方政府の債務負担がさらに大きくなっている。鉄鋼生産から不動産まで様々な分野で投資が速やかに増加したが、売り上げはかえって下落している。これらの現象は中国の景気が減速する大きな構図となっているという。
生産停滞VS投資増加 需給の不均衡
中国当局は景気の駆動力として、依然として投資とインフラ建設に依存している。今年1月から9月までの9ヶ月間で中国の不動産成約面積は前年同期比8.6%減少した。しかし、同期の建設面積は逆に8.1%増加し、9月末までに新規竣工物件の面積は、前年同期比5.1%増加した。
需給バランスがすでに崩れた中国の不動産市場は、供給過剰現象がさらに悪化している。米大手証券ゴールドマン・サックスの経済学者によると、中国の住宅空室率は20%に達し、住宅の深刻な過剰供給が明らかになった。これとともに、鉄鋼などをはじめとする中国の主要産業も不動産と同様の状況にあり、供給過剰が続く中、生産を中止した施設が増えている。
長年の極端な供給過剰と利益率の低下により、中国で鋼材の価格は過去11年で最低の水準にまで落ち込んでいる。主要鉄鋼企業の鋼材販売価格は、白菜をも下回る低水準まで下降した。にもかかわらず、今年1月から9月までの9ヶ月間で中国の鉄鋼生産量は前年同期比5.4%増となった。
北京大学の金融学教授マイケル・パティス(Michael Pettis)氏によると、中国当局は内需低迷と失業大乱を懸念し、つい苦肉の策に乗り出してしまう。不動産開発会社と鉄鋼企業はしばらくの間、融資と在庫削減に頼って生存を維持し続けることができる。
しかし、こうした景気刺激策の代わりに、より大きな代価を払わなければならない。つまり、GDP成長率を5%または6%以上の水準に維持すればするほど、債務問題はさらに悪化し、これを修正するための負担やリスクも大きくなるだろうという。
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