【大紀元日本9月2日】中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が8月31日、2017年に実施する香港特別行政区特別長官の選挙方式について直接選挙を導入すると発表し、民主派の立候補を事実上排除することに決めた。誰でも立候補できる選挙を求める香港民主派らは「香港の民主主義で最も暗い一日だ」と悲痛な声を上げ、反発を強めている。
2017年の香港行政長官選をめぐって、全人代は立候補には香港各界代表ら1200人で構成する「指名委員会(指名委)」の過半数の指名を必要とし、立候補者数も2~3人に制限すると発表した。しかも、指名委は今までの香港長官を選んできた「選挙委員会」(定数1200人)と同じである。この発表により中国政府に近い委員が8割以上を占めるとみられ、民主派の立候補は事実上不可能になる。
▼香港民主派は猛反発 9月にも金融街占拠へ
これを受けて8月31日夜、民主派は香港政府庁舎前で抗議集会を開いた。主催者の発表でおよそ5000人が参加した。
民主派団体の主導者の1人である香港大学法学部の戴耀廷・副教授は集会において、「香港は今や新たな抵抗の時代に入る。命をかけての抵抗(抗命)だ」と述べ、香港の行政長官と立法会議員の全面普通選挙実現に向けて希望を捨てず、平和的な手段で最後までやり遂げるとの決意を表明した。
さらに戴副教授は、民衆動員で金融街の中環(セントラル)地区を占拠する街頭抗議行動「オキュパイ・セントラル(中環を占拠せよ)」を、9月中にも1万人規模で実行すると声明を発表した。
また、25人の民主派立法会議員は集会で声明を読み上げ、かならず立法会(議会)で国際的な基準を満たさない選挙制度改革案を否決するとの強い意志を示し、いかなる脅迫も恐れず、かならず最後まで抵抗することを強調した。集会は同日夜9時頃に終了した。
▼当局は警戒取締りを強化 中国軍の動きも
一方、全人代常務委員会の李飛・副秘書長は1日、「占拠は違法行為だ。これらの違法行為に脅されて屈服すれば、より多くかつ大きな違法活動をもたらす」と強調し、「占拠を発動すれば、香港警察はそれを取り締まることができる。そして、中央政府は永遠に香港(政府)の強い後ろ盾となる」と述べ、香港の民主派に高圧的な姿勢を強めた。
香港当局は最近、5000人の警察官を動員し、中国軍側も警戒を強化しているもよう。8月28日付香港紙アップルディリーは、同日朝、中国軍駐香港部隊の数台の装甲車列が香港市内の中心部を通過するのを複数の市民が目撃したと伝えた。当局は武力によって香港人を威嚇するとみられ、香港の情勢は不安定で緊張が高まっている。
中国の元外務次官・周南氏は今年5月、香港のテレビ取材で、「香港で動乱が発生した場合、中国政府は戒厳令を発令する権限がある」と異例の警告を行った。
国際社会は中国政府や香港当局に対し、香港市民の平和的抗議活動を妨げないよう呼びかけている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。