【大紀元日本7月8日】香港記者協会は6日、「陥落の危機に瀕する城」と題する年次報告書を発表し、2013年は香港の報道自由が過去数十年で「最も暗い時期」であるとと訴え、危機感を強めている。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
報告書によると、2013年に「明報」の劉進図元編集長が受けた襲撃事件や、民主派言論人としてラジオの番組で活躍してきた女性ジャーナリストの李慧玲氏が突然、解雇されたこと、政府に批判的な新聞から大手企業が相次ぎ広告掲載を見送るなど、香港メディア界は数々の打撃を受けた。それに加え、政府を批判するケーブルテレビの新規参入が認められなかったなどの実例を挙げ、香港政府が権力を武器に、メディアを弾圧していると訴えた。
さらに、香港では2017年に行う行政長官選挙制度の改革をめぐる議論が行き詰まるさなか、北京政府は6月10日、「香港に対し全面的な管轄統治権を持つ」ことを強調した初の「一国二制度白書」を発表し、圧力を掛けた。
香港記者協会の岑倚蘭(Sham Yee Lan)会長は同日の記者会見で、「北京政府は時々、報道の自由を恣意(しい)的に踏みにじる」と指摘した。
香港の著名ジャーナリスト・潘小涛氏はRFAの取材に対し「報道の自由のみならず、香港社会全体の自由度が圧迫されている。報道の自由が香港社会の基本的な価値を守る最前線であるため、攻撃の的になったのかもしれない」と語った。
一方、香港民主派政党、社會民主連線の元党首(主席)・陶君行氏は「多くの伝統的メディアが自己検閲を強化した」と指摘した。
同協会は記者会見で、ジャーナリスト、大学教授、弁護士が組織する自己審査監督委員会の設立を発表した。この委員会は、自己検閲の実例と検閲によって発表できなかった情報を公開することによって知る権利がいかに奪われているのかを、市民に知らせることを目的とする。
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