【大紀元日本4月9日】中国の元首相・李鵬氏の娘で、中国電力国際、中国電力新エネルギーの会長を務める李小琳氏をめぐる不正疑惑が報じられている。これは先月末、李鵬氏が中心となって進めた三峡ダム建設に関する汚職報道と関連するとみられ、今後李一族が腐敗取り締まりの対象になる可能性が出ている。
2月28日付の香港誌「亜洲週刊」は、李小琳氏が最近失脚した海南省の冀文林副省長の汚職疑いとかかわりがあることを報じた。昨年11月、李氏が会長を務める中国電力新エネルギーと同じ住所をもつ民間企業・香港緑色健康は、海南省で百億元(約1650億円)を超える土地を購入。取引を許可したのは当時の海南省副省長の冀文林氏だという。緑色健康の株主に李氏のほか、海南電網社の元トップで海南省電力協会の元会長の尹煉氏も名を連ねる。
香港緑色健康は、租税回避地のケイマン諸島で登録している企業によって設立されたとも同報道は指摘している。李氏が会長を務める国有企業と、株主を務める民間企業との間で複雑な投資関係が存在し、租税回避地の企業はこれらの取引の中で重要な役割を果たしたという。
なお、これらの報道について、李氏は4日、香港「文匯報」のインタビューで否定し、「記者の汚い考えが生んだ汚い文章だ」と批判した。
李氏は昨年10月にも、中国市場参入を希望したスイスのチューリッヒ保険の幹部を、3人の中国人実業家に紹介したことが英紙に報じられている。チューリッヒはその後、中国の新華人寿の四分の一近くの株式を取得。李氏による斡旋が行われたのは1995年で、当時の中国はまだ外資による保険業界への投資が違法だった。これについても、李サイドは否定している。
一方、渦中の李小琳氏の父親の李鵬氏がもっとも力を入れていたプロジェクト・三峡ダム建設をめぐる不正もこのほど報じられている。ダム建設を管理する中国長江三峡集団公司の会長と社長が3月末に同時に解任され、幹部らによる腐敗が日常的に行われていることも浮き彫りになった。
中国国内の報道では汚職は「一部の退任した老幹部もかかわっている」と伝えており、矛先を李鵬氏に向けているとみられる。娘の小琳氏の不正疑惑も相次ぎ取り上げられていることから、今後、「電力一族」とも呼ばれる李一族への調査が進められるとの見方が出ている。
これには静観できない人がいた。英フィナンシャル・タイムズ紙は1日、3人の情報筋の話として、江沢民元国家主席は先月、習近平国家主席に、共産党の主要幹部の家族や側近にメスを入れ過ぎないよう要求し、反腐敗運動のペースを緩めるよう求めたと報じた。一連の利益チェーンの頂点にいる江氏も、自身が最大のトラとして調査されることを危惧しているようだ。