【大紀元日本6月10日】今後数年間の米中関係の軸を決める両国首脳会談は8日、2日間の日程を終えた。北朝鮮や気候変動、サイバー攻撃問題への取り組みに連携していくことに合意するなど一定の歩み寄りを見せたが、山積する両国間の問題を解決し、新しい時代を迎えるには現実的ではないとドイツメディアは評した。
これまでの堅苦しい会談スタイルから一変し、ノーネクタイで散策しながら行われた今回の米中首脳会談は両国の新たな関係の船出を強く印象付けた。
「建設的」、かつ「前向きだった」と米政府関係者に評された今回の会談だが、スイスのチューリッヒに本拠を置くドイツ語日刊紙、ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングは7日付の記事で新しいスタイルの会見は両国の新時代の幕開けを意味するものではないと指摘した。
その理由について中国の「対米コンプレックス」が挙げられた。米の生活スタイルを羨望しながら、政府系メディアは反米言論で一色。世界2位の大国に上り詰めてから、中国は政治的に経済的に存在感を見せようとしている。
そのため、「2011年に米政府が打ち出したアジア回帰の戦略は中国を抑制するためのものだととらえている」とし、「その後、中国政府は外交関係者、軍幹部、学者を挙げて、米国に政策の改変を迫ってきた」、「中国抜きのTPP枠組みの構築にも不快感を示す」など米への対抗姿勢をあらわにしていると分析した。
また、習近平国家主席が提唱する「中国の夢」に、「強くなった中国が米と肩を並べるのは当然なことだ」という意味合いが込められていると述べた。
ドイツ国内紙フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングも、中国政府は北朝鮮問題で国際社会と歩調を合せ、制裁措置を講じてきたが、こういった協調姿勢はほかの問題にまで拡大するかどうか不明だと述べた。「知的著作権問題、米市場参入問題、人民元切り上げ問題、人権問題など両国間で抱える個別的問題があまりに多いため、開きが大きいままだ」と大きな関係改善がないとみている。