米メディアが公開した徐義淳被告の写真
【大紀元日本5月10日】中国で、親の財力で罪をもみけそうとする「卑怯な富二代(財産家の子供)」の横行が、国境を越えて問題視されている。アメリカで交通事故を起こし相手を死亡させた中国人留学生の母親が、渡米し、保釈金として200万ドル(約2億円)を支払った。中国のインターネットユーザー達はこの留学生の親が誰であるか検索した。あたかも「犯人探し」をするようなこの行動の背景には、染み付いた権威者と富裕層に対する根深い嫌悪感がある。
事故は昨年11月10日午後3時、アイオワ州で起きた。米国留学中だった徐義淳(当時18歳)被告は友人とのパーティに参加した後、運転して帰宅中、標識を無視をして無謀なUターンを行ったため、25歳の女性が運転する車にぶつかった。この運転手の女性は死亡し、同乗者していた女性の親戚3人が負傷した。徐の運転する車に乗っていた10代女性4人のうち2人も負傷した。
徐は事故当時、警察官に所持金542ドル(約5万4000円)を渡し、見逃してくれるよう求めたという。
米警察当局に対して徐が証言した内容では、車は事故4日前に現金で購入した黒のベンツ。徐は中国で運転免許証を取得していたが、アメリカ国内で運転に必要な国際運転免許証は取得していなかった。またこの日、初めてアメリカで運転したという。
地元検察当局は、徐を5つの項目で殺人の嫌疑で起訴した。徐側は無罪を主張している。当初、裁判所は保釈金50万ドルを設定したが、被告の中国逃亡を懸念して200万ドルに吊り上げた。現在、アメリカと中国には犯人引渡しに関する条約がない。
3月1日、渡米した徐の母親が高額な保釈金全額を支払った。当時、担当検察官はとても驚いたという。「高額な保釈金が払われることは滅多にない。また、徐が逃亡することを懸念している」と地元メディアに答えている。
父親は大手企業の最高責任者
香港紙・星島日報が徐義淳被告の父親の身分を報じた。中国全土で33の支社を持つ大手税理会計企業「中税网」の最高責任者・徐兆宏氏であるという。同社は、国に認められた唯一のインターネット通信教育で税理士資格を得られるサイト「taxchina.com」を運営している。同紙の取材に対して、父親は「私は北京に戻った。何も問題ない」と述べたという。
同紙の取材に答えた米国の裁判所職員の証言によると、息子が拘留されているワシントン州キング刑務所を訪れた父親は、同行した裁判所職員を突き飛ばし、持っていた書類を床に撒き散らしたという。
中国のインターネットでは、「200万ドルの保釈金は不正に得た利益だ」「息子の横行は父親の影響だ」などと、事件に対して怒りと嫌気が渦巻いている。ミニブログ・微博で聞かれた声の例は以下の通り。
老張家的小方「どんなに大きな失敗を犯しても、ずうずうしくも親父が穴埋めする。悲しくも200万ドルものお金が中国からアメリカに渡ってしまった」
老燕915「そんなに莫大なお金がどこから出てきたんだ。普通の人たちに彼らはお金を渡さないのに、堕落した子供の保釈金に使うなんて。アメリカ人よ、次に同じような事件が起きたら、まず(中国人容疑者の)家族背景を探って欲しい。2000万ドルだって2億ドルだって罰金を科していい。不正に得た莫大なお金を彼らは持っているのだから」
第一只草泥馬「父親は多くの中国人を傷つけて、頭の悪い息子のために血塗られたお金を海外へ送った。『富二代』は金を自由に使えて、人を好きなだけいじめて、法律を無視できて、罪のない人を殺すことができる。問題なのは、このようなアホが既に大勢いるってことだ」
4月10日、ワシントン州ケントで開かれた裁判に、徐被告が弁護士とともに出廷した。被害者一家は「治療に専念する」ことを理由に出席しなかった。双方は和解交渉を進めていると報じられている。現在、徐被告は学生ビザを更新し、事故前から在籍中の同州サウス・パゲット・サウンド・コミュニティ大学に戻っているという。
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