【大紀元日本10月9日】長く出動せず塵の積もった救急車、病院入口には落下したタイルが散らばり、外壁は発砲スチロールで、素手で壊せる。中国政府の対外援助の一環として、3年前、アフガニスタンに新設された病院は「患者を受け入れるのに十分に安全ではない粗悪な建築施設」とされ、いまや廃墟と化している。衛星テレビ局アルジャジーラが伝えた。
報道によると、中国政府主導で設計・建設された首都カブールにあるJumhoriat病院は2009年8月に開院した。しかし、素人目でもすぐわかる欠陥工事ぶりに、やがて人々は利用しなくなっていった。病院はまもなく閉鎖し、放置された。
同局は調査員を派遣して病院内の様子を確認した。手術室を含め、いたるところで天板の剥離、落下。ラジエーターは床に接して取り付けられているためプラスチック製の床は溶解する恐れがあり、自動扉は歪みと隙間で作動しない。非常口案内は中国語と英語表記のままで、出口のない場所に設置されている。空調排気ユニットが待合室近くに取り付けられている。粗悪ぶりは枚挙にいとまがない。
剥げ落ちた天井板(アルジャジーラよりスクリーンショット)
同局の取材に答えたスラヤ・ダリル厚生相は、中国政府の援助に感謝を述べながらも、病院を再開させるには設備を一新させる必要があると話している。
中国当局の経済貿易援助外交「銀弾外交」に対して中国国民からも、「恥さらしだ」など批判の声が上がっている。また、「国内の貧困問題を無視して、(中国)政府の海外事業援助は政府要人の懐に入っている」「権力者たちのマネーロンダリングの常套手段」と指摘した者もいる。
中国の対外援助は石油資源国に多く、資源確保の目的であるとの見方が強い。また、それらの国が非民主主義的な政治体制であることが多く、政治腐敗と汚職を助長していると批判されている。
アフガニスタンの鉱工業相が2007年、中国国有「中冶グループ」から約3000万ドルの賄賂を受け取った代わりに、アイナク銅鉱山開発権を中国側に付与したと、米紙「ワシントン・ポスト」は元米政府関係筋の情報として報じている。