<赤龍解体記>(62)薄煕来おろし 温家宝首相は18大への影響力増す

2012/04/23
更新: 2012/04/23

【大紀元日本4月23日】人事交代の中共18大が開催前、薄煕来事件が不意に起きたため、中共の従来の政治構造が破られ、誰が次期の指導部である政治局常務委員会に入れるかが、ますます中共内部闘争の新しい焦点となっている。「薄煕来おろし」で幅広い支持を得た温家宝首相は、18大への影響力がより一層増大したと見られている。

今年開催の「両会」における記者会見で、温家宝首相は王立軍事件に触れて、中共重慶市委員会は反省すべきと言及したが、この発言は重慶の政治上の後退を暗に批判したと思われる。そして、政治改革をふたたび言及し、政治体制の改革が行われなければ、経済改革は完成できず、「文化大革命のような歴史的悲劇がふたたび起きる可能性はある」と警告した。

中共指導部が薄煕来に対する処罰を決定したあと、温家宝首相は4月16日の中共機関誌『求是』に論文を掲載し、「権力が監督される下で行われるようにさせるべき」と主張し、世論の注目を集めている。これは温家宝首相が3月26日に「国務院第5回廉潔政治実施会議」における談話を基に加筆したもの。

温家宝首相の積極的な発言にひきかえ、薄煕来の「重慶モデル」を大々的に宣伝していた「鳥有之郷」など毛派のサイトはすばやく閉鎖され、毛派という左派勢力も全面崩壊してしまった。

前記の「国務院第5回廉潔政治実施会議」で、温家宝首相は、与党にとって最大の危険は政治腐敗であり、この問題をうまく解決しなければ、政権の性質が変わり、「人亡政息」(人が死に、政権を失う)になりかねず、この問題は中共が直面している最深刻な試練だと指摘した。温家宝首相の「人亡政息」論は、国内外のメディアから広く報道されたが、これは周永康を首とした政法委への警告だったと見られている。

関係の情報によると、温家宝首相は周永康が司る政法委に対してきわめて不満であり、彼は内部の会議で、政法委は法律を以て法律を乱し、警察の権力をもって腐敗を行うため、中国の社会矛盾を未曾有な激烈化と危険な境地にもたらした、と何回も言及したという。

政法委からの有力な支持を得て、薄煕来は両会で胡錦濤や温家宝の中央政権を迫ることができたが、彼の挑発的な行為も胡錦濤の薄煕来下しを決意させたものと思われる。すなわち、こういったような累卵の時期に、即断しなければ、自分たちが「人亡政息」をもたらす罪人になるばかりではなく、自分たちも江沢民派から倒されるというわけである。

『フィナンシャル・タイムズ』によれば、温家宝首相は中共指導部の秘密会議で、異なる場でかつて3回ほど「天安門事件を見なすよう」と提案した。毎回も同僚たちの反対を招き、その中で薄煕来がもっとも激しく反対した一人であったという。

このほど、中国のある学者がブログで次のことを披露した。温家宝首相は指導部の会議でただ天安門事件を見直すと提案したばかりではなく、法輪功弾圧を見直すべきとも提案した。しかし、彼の提案は周永康をはじめ江沢民派から激しい反対を招いた。

法輪功の問題は、従来胡錦濤、温家宝と江沢民派との意見対立する焦点である。重慶事件以来、江沢民派から操られていた中国のサイトで法輪功学習者の臓器狩りなど法輪功学習者迫害に関する凄まじい機密情報が次々と披露されてきたが、これも胡錦濤と温家宝が江沢民と周永康に出撃したものであり、しかも江沢民派の急所を突いたとされる。今後、中国政局は激しく変動し、予想以上の展開になるだろうと見られている。

(文・古清児/翻訳編集・呈工)