ナスダックでの新唐人テレビ放送禁止に 中国当局の影=米外交公電

2012/02/02
更新: 2012/02/02

【大紀元日本2月2日】中国当局の検閲を受けない独立メディア「新唐人テレビ」は5年前まで、米国ニューヨークの電子証券取引所ナスダックのスタジオから毎日、金融ニュースを報じていた。しかし2007年2月に突然、放送禁止となり、以後は一度も放送されていない。最近ウィキリークスに公開された米国外交公電から、ナスダックの措置の裏には中国当局の圧力があったことが明らかになった。

昨年8月30日に公開された同公電によると、中国保安局は2007年1月26日朝、ナスダック中国代表でアメリカ市民権をもつローレンス・パン氏を米国での法輪功の活動にナスダックが支持しているとの嫌疑で拘束し、尋問したという。

これを緊急事態として受け止め、ナスダックのアジア太平洋局長であるジェームズ・オギルビー=スチュワート氏は、すぐさま米国大使館に助けを求めた。外交官は中国外交部(外務省)に対して、事実確認と拘束理由の説明、パン氏との接触を要求する緊急文書を送った。しかし外交部からの反応は得られなかったという。

パン氏は同日午後に釈放された。

オギルビー=スチュワート氏は、釈放条件としてナスダックでの新唐人テレビ放送の中止を約束させられたのではないか、と推測している。

新唐人テレビは2001年の創設以来、中国国内の人権問題だけでなく、中国の伝統気功法を修める法輪功学習者への迫害問題について伝え続けてきた。サミュエル・チョウ副社長は大紀元の取材に対し「私たちは迫害を報道する唯一の中国語テレビ局。そのため中国共産党は私たちに不満を抱いている」と答えた。

パン氏拘束の出来事から約一カ月、新唐人テレビの番組スタッフがナスダックに入場しようとしても、所有していたセキュリティカードでは扉が開かなくなるという事態が起きた。この日より新唐人は突然「締め出される」こととなった。

中国当局からの検閲を受けない報道を続ける新唐人テレビには、長年にわたり当局からの圧力がかかっている。2008年には世界衛星大手のユーテルサット社が、顧客である新唐人テレビの中国大陸向けの衛星送信を契約途中で停止した。国境なき記者団は、同社が中国体制の圧力に屈したと非難した。

サミュエル・チョウ副社長は、もしナスダックが同様の圧力に屈したのであれば「遺憾だ」と述べている。

(翻訳編集・佐渡 道世)