【大紀元日本1月25日】米国に続き、欧州連合(EU)とオーストラリアもイラン産原油の輸入禁止を正式に決めた。イランの核開発計画に対する圧力として、欧米やその他の同盟国が歩調を合わせている中、イラン産原油の最大輸入国・中国は別行動をとっている。24日、中国はイランから原油を輸送するため、少なくとも2隻の超大型タンカーを手配した。ボイス・オブ・アメリカ(VOA)などが報じた。
世界最大の船舶ブローカー、英クラークソンの調査部門、クラークソン・リサーチ・ サービシズによると、中国はイランから200万バレルの原油を中国に輸送するため、2隻の超大型タンカーを手配したという。発注した中国側の企業には、イラン最大の石油精製品の供給会社で、最近米国に制裁対象としてリストアップされた珠海振戎公司(国有)も入っている。またブルームバーグは、イラン国営タンカー会社(NITC)の2隻の大型タンカーも中国に向かっていると報じた。
中国が輸入するイランの原油量は、同国の輸出量の22%を占めており、イランにとって最大原油輸入国である。一方、イランは中国の第3位の石油供給国で、中国の原油輸入量の11%を提供している。特に2011年には中国がイランからの原油輸入量を大幅に増やしている。昨年1年間、イランからの輸入量が2776万トンに上り、前の年より30%増となった。対照的に、2011年の中国の原油総輸入量は6.1%しか増えていない。
中国はまた、イランに積極的に投資している。ヘリテージ財団(ワシントン)の統計によれば、2010年の中国によるイランでの投資額は179億ドルに上る。その内訳は、エネルギー投資が135億ドル、電力分野35億ドル、輸送業8億4千万ドル、金属業1億1千万ドルとなっている。また首都テヘランの地下鉄やダム、漁場、コンクリート工場などのインフラ建設にも中国は関与してきた。
イランと中国の蜜月関係を断ち切ることはほぼ不可能だと米カーネギー国際平和財団の上級研究員・涂建軍氏は分析する。中国は世界第二位のエネルギー消費国であり、特に石油への依存度は米国にも勝っている。急増する石油消費量に国内生産量が間に合わず、昨年では中国で消費する原油の半分以上は輸入に頼っているという。
「今後、中国国内の石油消費量はさらに増えるだろう。イランからの供給を断ち切れば、国全体の石油安全は大きな衝撃を受ける」。中国が国際社会のイラン制裁に同調することはないと涂氏は見ている。
だが公然とワシントンの意向を踏みにじり、イランからの原油輸入を増やすこともないと涂氏は言う。各国がイランからの原油禁輸や削減を実施している今、イランから原油を輸入しつづける中国は、大幅な割引要求をイラン側に突き付けるだろうと涂氏は予測する。このやり方は中国の国有石油会社に有利な一方、イランが原油輸出による収入が減ることで、間接的に米国主導の制裁案にも力添えをする形となり、一石二鳥となる。
先日、温家宝首相の中東産油国への歴訪は、イラン問題をめぐる国際情勢を窺いながら、「二足のわらじ」を履きこなそうとしている中国政府の立場を示したと涂氏は指摘する。
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