<赤龍解体記>(25) 中国高速鉄道事故でメディアとインテリが造反

2011/08/01
更新: 2011/08/01

7月23日の中国高速鉄道衝突事故が起きた後、鉄道省の後手に回った救援活動、安全を無視しつつ早急に運転再開したこと、衝突した車両を壊して土に埋めて証拠隠蔽を図ったことなどにより、一般人のみならず、メディア人も従来の体制維持を最優先するスタンスを捨てて、新聞や雑誌、テレビなどを通じて真相究明を求めつつ、鉄道省の理不尽な救援活動などを厳しく批判している。

 このような変化は、天安門事件で武力弾圧が行われる前とほぼ同じ情景を見せ、いわばメディア人たちは体制の束縛を逃れ、己の良心をもってメディア人としてやるべきことをやったのである。

 しかし、極左の代表とされる中共宣伝部は、彼らの反逆を看過することはなく、7月29日、通達を出して事件に関するマイナス報道をしてはならないと命じた。それで、百単位の新聞は、事前に作成した特集報道を撤回せざるを得ず、千単位の評論が掲載できなくなった。

 こういった傲慢で理不尽な命令に対し、目覚めたメディア人たちは大いに反発し、可能な方式で不満を表し、宣伝部を批判している。

 秦軒と名乗るメディア人がネットで書き込みをし、自分の心境を語った。「お酒を二回飲んでもなお眠れなかった。仕方なく、真夜中に微博(中国版ツイッター)にアクセスして、感極まった。メディア人として最大の原動力は何かと言えば、次世代のため、ということだ。彼らが自由を得るため、彼らが真実で善良な人になるため、彼らが文章を書くことで苦しまないようになるため、彼らが尊厳を以って生きていけるためなのだ。たとえ、われらは何も変えることができなかったとしても、死ぬ前にわれわれの子供たちにこう言えるのだ。お父さんは力不足だった。でも、できる限りのことをやった。今死んでも悔いはない。残った課題は、すまないが君たちに任せる」

 今回の事件で、異常な正義感を見せたのは、メディア人だけではなく、インテリ層もかなり活発である。

 華東政法大学の張雪忠教授は、自分のブログで真相究明を求め、鉄道省の事件対応を批判するメディアを支持している。そして、「これほど多くの新聞社が掲載予定の記事を撤回されたとすれば、メディアの同人はある一致した方式(例えば共に新聞紙面を空白のままにするとか)で抗議し、メディアの尊厳を主張すればよい。もし、メディア人がこのような良心的な蜂起を起こすことができれば、歴史上最も重い一筆を残すことができるかもしれない」とコメントする。

 張氏はまた、厳粛に約束した。「もし、どこかの新聞社が紙面を空白のままにしたことで、その責任者が処罰されたら、わたしはその処罰を受けた方々に1万元を寄付し、これを以って皆さんの勇気と光栄を褒め称える」

 香港のメディア人George_chenも微博でこう綴っている。「今晩、中共宣伝部及び各地方の宣伝部およびニュース事務室の官員らはみな狂っている。彼らは各新聞、テレビ局などに電話し、またはファックスを送信し、高速鉄道事故関係の報道をしないように要求した。大災難の前の大いなる愛を示す讃美歌的なものまでも取り消された。その目的は国民にこの事件をすぐに忘れさせることだ」

 中国人権派弁護士・朱孝頂氏も微博で応援する。「今晩、『降温』という語彙がきわめて偉そうに素早く各大手ネットに現れている。それで、各地の歌舞が再び盛り上がった。こういった肝心な時に、温度を下げた達人たちがいくら偉そうに見えても、知人ならば奴らとの交際を断ち、知らない者なら奴らと一線を画すべきだ。私の書き込みは削除されてもかまわず、この私は殺されてもかまわない。多くのことをやる能力がないかもしれないが、しかしせめて主動的に温度を下げてはならず、その強姦行為に協力してはならないのではないか」