【大紀元日本7月6日】世界最大のコークス石炭埋蔵量を誇るモンゴルのタバン・トルゴイ炭鉱の開発権をめぐって、モンゴル政府は5日、米石炭大手ピーボディ・エナジー、中国の神華能源と三井物産の合弁、ロシア主導の企業連合の3陣営を共同開発企業に仮決定したと発表。
炭鉱開発権を利用して、モンゴル政府が中ロ両国との外交関係のバランスを取ろうとしていることが、専門家らに指摘されている。
同炭鉱のコークス石炭の貯蔵量は約64億トンと世界最大規模。その総価値は3千億ドルに及び、モンゴルの年間国内総生産(GDP)である60億ドルをはるかに超えている。世界最大の未開発の優良炭鉱とされている同炭鉱を開発することは、同国の経済発展にとって極めて重要である。
モンゴル政府が同炭鉱の開発を外資に委託する方針を打ち出したことを受け、中・ロ・米など計6陣営が入札に参加した。中国の神華集団は日本の三井物産と合弁を組んでの入札となった。
同国政府関係者は決定前から、「隣国との利益関係を配慮する」と発言。地縁政治からの考慮で中ロによる共同開発の可能性が高いとの憶測が広まっていた。また、米企業も最終選考に残っていることをモンゴル紙は報じていた。
モンゴル政府は、1992年に両隣国であるロシア・中国とのバランス保持と「第三の隣国」と位置づける欧米・日本との関係強化を基本政策として打ち出した。今回の3陣営による共同開発はこの政策の具現化とも言える。
ロシアのメディアによると、中国は13年連続でモンゴルの最大貿易相手国となっているが、モンゴル政府は中国への過度な依存を懸念している。一方、ロシアは旧ソ連の崩壊後、モンゴルでの影響力が低下。ロシア企業をモンゴルに呼び戻すことによって、中国の拡大しつつある影響力の抑制をはかることをモンゴル政府は狙っている。