法輪功情報を収集、中国スパイに有罪判決=ドイツ

2011/06/16
更新: 2011/06/16

【大紀元日本6月16日】ドイツのニーダーザクセン州高等裁判所は6月8日、国外の法輪功学習者に関する情報を収集し、中国の諜報機関に提供したとするスパイ案件を審理、被告に有罪判決を下した。周超英被告はドイツ在住の中国人。同被告には、スパイ罪で執行猶予2年つきで1万5000ユーロの罰金刑が言い渡された。

検察当局の訴状によると、周超英被告(55)は5年前の2006年3月から、中国当局の諜報機関「610弁公室」に、国外の法輪功に関する情報を頻繁に提供してきた。その中には、法輪功学習者が使用するインターネット・サーバーの暗証番号や、ドイツの法輪功学習者の個人情報などが含まれている。それらの情報をもとに、中国当局はドイツの法輪功学習者の電話などを盗聴し、監視を実行してきた。また、同被告は610弁公室の高官の指示を受けて、300ページに及ぶ長大な報告書「法輪功の組織構造の報告」を作成していた。 

ドイツの反スパイ機構である「憲法保衛局」は、4年間をかけて周超英被告を尾行し捜査を行った。そして昨年5月、警察当局は同被告の自宅を家宅捜査し、検察機関は立案調査を始めた。今年5月26日、本案に関する第一審が行われ、6月8日、2回目の法廷審理が行われ、冒頭の判決が下された。

610弁公室は、法輪功への大規模な弾圧を遂行するために、1999年6月10日に設立された中国共産党直属の超法規的組織である。警察とは別個の組織で、強大な権力をもつとともに、法輪功弾圧を目的とする海外での諜報活動もその任に含まれる。

ドイツ検察当局の起訴状は、周超英被告が610弁公室に法輪功学習者の情報を提供した行為は、ドイツ刑法の第99条に違反するためスパイ罪が成立すると記した。

同法律の定めでは、スパイ罪には最高5年間の禁固刑が科せられる。周超英被告の犯罪証拠が明確であるため、量刑の焦点は故意に情報を提供したかどうかに絞られた。

同被告は犯罪事実を認めているが、その目的は「610弁公室の高官との接触を通じて中国共産党の上層部に働きかけ、法輪功への弾圧を緩和させるため」だったと弁明した。

また、周超英被告の代理弁護士は法廷で、「被告は故意に情報を漏えいしたのでなく、中国諜報機関の罠にはまったのだ」と主張した。

これに対しドイツの検察当局は、「被告のスパイ行為の動機は、彼が主張しているほど純粋なものではない」と指摘した。

裁判官は、被告の犯罪の動機は判定できないとした上で、前科がないことや、犯罪事実については全面的に認めたことを考慮して、スパイ罪により執行猶予2年つきで1万5000ユーロの罰金刑に処するとの判決を下した。

法輪功(ファルンゴン)とは、中国伝統文化の一つである気功修煉法である。誰でも学びやすい五式の功法に集大成され、1992年から一般に公開普及してきた。心身の健康に効果が高いことから、一般庶民から政府高官や軍の関係者も含めて、中国社会の各層でこれを学ぶ人が爆発的に増え、弾圧以前には、法輪功の愛好者は1億人に上ったと推定されている。当時の江沢民主席は、このことを「政権への脅威」と受け止めて、1999年7月に弾圧を命じた。法輪功の公式サイトは、12年間に及ぶ弾圧によって3400人以上が拷問などで死亡、数十万人が不当に監禁・投獄されているとしている。

(記者・田宇、翻訳編集・叶子)