【大紀元日本4月23日】中国の最新国防白書の分析によると、「これは台湾の内政に介入する政治戦争を意味する」と、アメリカのアジア軍事研究者が発表した。
アメリカ国際戦略センターのアジア軍事上級研究員、リチャード・フィッシャー氏の分析は、「中国共産党(CCP)が台湾を強制的に戦略的包囲という不穏な見通しを、この防衛白書は与えてくれる」と、同センターの公開論文として発表した。
フィッシャー氏は、この白書が示す中国の意図を分析する。「中国が現在、進行させている戦略は、経済と政治の『統一戦線』と、軍事力による脅迫との組合せを含んでいる。これは将来、いかなる時期にも、直接的な軍事作戦を慣行する計画があることを示している」という。
3月31日に発表されたこの新防衛白書は、台湾に対する中国共産党の「分裂と征服」戦略の武器と考えられる、とフィッシャー氏は指摘する。
この白書の一節には、表面上、台湾与党・国民党は「穏やかで素直」と説明されている。しかしフィッシャー氏は、「明らかに、今は台湾の自由な時代を最後にする政治交渉の時期が来ている」と警告する。また、国民党内の親中国派閥が積極的に中国共産党の目標を達成しようと「心から望んでいる」という。
一方で白書は、台湾野党の民進党に対しては、「一旦、支配(政権)を獲得したならば、どれほど中国共産党が厳しく台湾を扱うかを感じさせる」とフィッシャー氏は述べた。現在、対台戦略を中国は強調していないが、2008年頃からスタートした両国のビジネス関係の増進や民衆の交流は、「台湾のためではなく、中国の最終的な目標を達成するための手段である」と氏は見ている。そのため、「中国共産党は国民党に、台湾の未来に関して政治的交渉を始めて欲しいのだ」という。
アメリカに冷や水をかける白書
中国防衛白書のもう一つの見方として、これは北京からワシントンに「冷水を掛ける」とフィッシャー氏は分析する。「白書は、中国がアメリカと西欧各国の世界資本の共益パートナーになるという期待を持てないことをも明らかにした」と言う。
「多くの中国の最近の台湾に対する行動は、両国の緊張を軽減するのが目的であり、白書は、台湾の未来と政治事情に直接介入するものだ。中国は、台湾を支配するという一貫した目標に進んでいる」と氏は続けた。
フィッシャー氏は、強化される中国の対台軍事の不均衡を受け、アメリカ国務省は、「防衛用兵器」だけを台湾に販売するという台湾関係法条約の制限を見直す必要に迫られるだろう、と分析した。