【大紀元日本4月16日】中国国家統計局は15日、3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.4%上昇したと発表した。2008年7月以来、2年8カ月ぶりの大幅な伸び率となった。政府は昨年10月からの4回の利上げに加え、行政指導を強化するなどさまざまな措置を取ってきたが、インフレは加速する一方で、苦戦を強いられている。
温家宝首相は4月13日の国務院常務会議で、「あらゆる手を尽くして物価水準の基本的な安定を保つことが今年の最重要課題」だと述べた。中国の指導者らはこれまで再三、物価問題を最優先課題と位置づけてきた。
政府は4回の利上げのほか、行政介入で物価の上昇を阻止しようとしている。中国発展改革委員会はこのほど、食品、飲料、乳製品、家電など17業界のトップと会談し、値上げを中止または見送るよう求めた。国務院は昨年12月にも、政府備蓄の放出や低所得層への補助金支給など16項目からなる「国16条」と呼ばれる緊急対策を打ち出し、高騰する物価を抑制しようとしている。
中国の商業・工業団体や企業でつくる中華全国工商聯合会は13日、数万社に上る会員企業に対して便乗値上げや価格操作をせず、物価の安定を図るよう呼びかけた。呼びかけは同聨合会が政府からの圧力を受けての行動だと専門家は指摘する。
北京在住の経済学者・劉正山氏は、物価上昇や不動産価格高騰に度重なる行政介入を実施したのは近年に見ないことで、「かなり厳しい状況にある」と見ている。
上海復旦大学経済学院の孫立堅教授はRFI(ラジオ・フランス・インターナショナル)の取材で、行政手段で介入すべきではないとの考えを示した。「行政介入によって、コスト増であるにもかかわらず値上げできない企業は生産量を減少せざるをえなくなり、加えて過剰流動性の問題もあり、今後抑制不能のインフレに陥る恐れがある」と述べ、減税措置を取るべきとの見解を示した。
中国国際経済交流センターの王軍研究員はロイター通信に対して、これまで市場は「前高後低」と下半期に物価の上昇が落ち着くだろうと市場が予測していたが、現在の状況から見ると、上昇の圧力は和らぐ気配はないとの見方を示した。
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