<赤龍解体記>(9)血の色を見せつけるイベント

2011/04/11
更新: 2011/04/11

重慶市は中国の4大直轄市の1つであり、市のトップである薄煕来は、来年開催予定の中共18大で政治局常務委員に抜擢される有力候補の1人とされ、つねにその剛腕的な政治や突飛な発言により注目され、物議を醸している。

 3月28日、重慶市は巴国文化広場で1万人余りの集会を行い、中共の党員たちは赤一色の旗やスローガンを書いた看板に囲まれ、赤色のシャツを着て、入党した時に述べた宣誓をあらためて読んだり誓ったり、「紅い歌」(革命の歌)を歌ったりした。この赤色の運動は、文化大革命の再来かと懸念されている。

 ■赤色の濫用は末日の証し

 北アフリカ、中東の政治情勢が激変している中、中共の組織から脱退宣言をした中国人はすでに9千200万人にも及び、中共は不安定で危険な状態にあって、いつでも崩壊する可能性を秘めている。

 中国が公表した情報によると、中国の昨年度の「安定維持費」はすでに国防費を上回り、次第に増加する見込みである。中共は目下、国民の抗議行動を抑制し、中共の崩壊を防止することが最重要課題とされている。

 重慶で行われた前記の集会について、世界中共脱退サポートセンター執行主任・李大勇博士は次のように見ている。中共は日増しに深まっている国内外の危機をきわめて恐れている。そのため、赤色と「紅い歌」を利用して末日の恐怖を隠そうとしており、国民を集めて注目されるイベントを行うことによって、中共勢力の強大さを見せつけると共に国民たちをより強くコントロールしようとしているのである。

 ■中共内部闘争の新展開

 一方、重慶での紅いパフォーマンスについて、著名な中国問題評論家・凌鋒氏は次のように分析している。

 この赤い運動は、たぶん薄煕来が18大で中央政治局常務委員会に入るための一つの手段だろう。目的達成のために、彼はつねに他人と異なる挙動をとり、それによって、注目を集めると共に一部の人たち、とりわけ「毛沢東派」の支持を得ようとしているのである。

 しかし、中共の内部でも彼のやり方を嫌う人は少なくない。つまり、人々はこのような見渡す限り赤一色という情景を目にすると、まるで狂気な文化大革命時代に立ち返った気になってしまうからである。

 それにもかかわらず、彼は中共の党旗を掲げて、革命の歌を歌ったり中共への忠誠を示す宣誓を誓ったりするので、反対派はなかなか手を出せない。すなわち、彼の赤い活動に反対すれば中共に反対することになってしまうからである。ある意味では、このような異常な行為を演出するのも、中共内部闘争の熾烈化と複雑化の一象徴なのである。

 最近、重慶のほかに北京の陶然亭公園などでも千人ほどが集まり、「紅い歌」を歌うなどの活動があったという。これらは重慶のように組織されたものではないようだが、実際はどちらも中共の安定維持プロジェクトの一環に過ぎない。

 今注目されている一連の紅い運動は、一見、党を愛する行動に見えるが、実はそれほど単純なものではない。つまり、革命の歌を歌ったりする人たちはすべて組織されて参加したのであって、本意でやったものではない。そして、この赤い運動に参加する人々の中に、機を見て造反を図る異分子がいないとも限らない。

 1989年にルーマニアの独裁者チャウシェスク大統領は集会で突如倒されたが、今の中国でも革命の歌を歌ったり赤旗を掲げたりする中で、いま一つの中国ジャスミン革命が発生するかもしれない。

 要するに、情勢が複雑である中国は、想像を絶する急展開を迎える可能性がきわめて大きく、いつ如何なる事が起きても不思議ではない。