「夫を返して」 弁護士の妻、ニューヨーク・タイムズに投書

2011/04/07
更新: 2011/04/07

中国当局に連行されてから1年近く「行方不明」になっている中国人権派弁護士高智晟氏について、妻の耿和さんがこのほど、ニューヨーク・タイムズ紙に投書し、中国当局に対して、「夫を返して」というメッセージを発した。

 同紙は3月27日、耿和さんの投書を掲載した。「約1年前、中国当局は再度夫を拘束しました。あれから、彼の消息が絶たれました。夫はいまどこにいるのか、まだ生きているのかどうか。私は何も知りません」と耿和さんは綴った。

 2005年末までに、高智晟氏は3度にわたり、胡錦濤主席などの最高指導者宛の公開嘆願状を発表し、法輪功への集団弾圧の違法性と残虐性を訴えて、弾圧の中止を懇願した。その直後、同氏は逮捕されて執行猶予付きの懲役刑を受けた。それからの5、6年間、同氏への逮捕・釈放が繰り返された。耿和さんは今回の投書でこう語った。「夫は確実にリンチを受けているでしょう。彼は拷問に耐え続けていました。2007年のとき、(監禁中に)電撃ショックや、タバコによるやけど、爪楊枝で性器を刺すなどのリンチを受けました。2009年のとき、2日間続けて暴行されたり、イスに数時間も縛り付けられたりして、殺すとの脅迫も受け、子どもたちが精神障害者になったとも聞かされました」

 2009年3月、中国当局の迫害から逃れるため、耿和さんは2人のこどもを連れて、支援者の助けで米国への脱出に成功した。いまはサンフランシスコに住んでいる。彼女は、「私と子どもたちは自由を得ていますが、夫(父)のことがとても気がかりです。彼が拷問に耐え続けていると思うと心が引き裂かれる思いで眠れぬ日々が続いています。いまだに彼の消息がない中、3人はよく抱き合って泣き崩れてしまいます。私たちの心は中国国内に残されており、ここにはないのです」と心の苦しみを語った。

 耿和さんは夫を救出するために、これからも国際社会に支援を呼びかけ続けていくという。「夫の遭遇はまさに中国人権の真の状況です。国際社会が絶えず関心を示すことで、はじめて彼の命を救えるのです。いろいろな場で持続的に支援を訴えていかなければならないのです」と彼女は語った。

 国連人権理事会の関連チームが最近、中国当局に対して高智晟氏の釈放を求めたことについて、彼女は同投書で感激の意を示したほか、「オバマ大統領には懇願したいのです。父親として、弁護士として、そして米国の最高指導者として、ぜひ私たちの切なる願いが実現するよう手助けください。少なくとも、胡錦濤主席に要求して、夫と連絡させてほしいのです」と言葉を綴った。

 「もし、夫がすでに殺されているとしても、彼に尊厳ある永眠を遂げさせるため、私たち家族には最後の行事を行うことが許されるべきです」
 

(翻訳編集・叶子)