北砲撃、香港誌すでに予測 「中国の扇動で北朝鮮が戦争を起こす」

2010/11/27
更新: 2010/11/27

【大紀元日本11月27日】「米国が6カ国協議の再開を諦め、冷淡化するならば、北京政権は、平壌を煽ってことを構えるだろう。朝鮮半島で再び戦争を起こしても構わない」―北朝鮮による砲撃事件の前に、それを予言したかのような記事が香港誌『動向』2010年11月号に掲載された。北京政権は「石油など資源の確保」と「政治体制の維持」という自国の二つの核心的利益のために、北朝鮮をそそのかして事件を起こし、日米を牽制する狙いであると同記事は記している。

また尖閣諸島問題では、米国が尖閣諸島は日米安保条約の対象であると表明したことにより日中関係が緊迫し、米中の対立が表面化することとなった。それに関係して、中国が北朝鮮との関係を誇示する一方、北朝鮮の金正日政権は中国からの強力な支持を得るため「自ら中規模の戦争を起こすだろう」と同記事は予測している。

核心利益の一:エネルギー輸入の確保

同記事によると、中国共産党内に「2035計画」と称する機密計画が存在するという。具体的には、2035年まで70~80%の石油をイランを中心とする中東地区で確保するという計画である。

中国の経済成長に伴い、エネルギー消費量が爆発的に増大し、もはや海外のエネルギーに頼らざるを得ないのが現状だ。エネルギーの確保という核心的利益をめぐって、中国海軍が南シナ海で米国と、インド洋でインドと衝突する可能性が高まると同記事は分析している。

核心利益の二:米国のアジア帰還を阻止

北京政権にとってのもう一つの核心的利益は、中国共産党独裁による現体制の維持である。米がイラクから撤退し、再びアジア地区における指導力を発揮するようになると、米の影響による民主主義制度への志向がアジアで強まり、中国までも染まってしまうと北京政権は危惧している。

『動向』の同記事によると、米がイラクから撤退しないよう、中国人民解放軍のある研究所は内部報告書により、中国国営メディアの新華社通信に対して、三つの方面から世論を誘導するように求めた。第一に、米が撤退するとイラクは地獄のようになってしまうことを印象づける。第二に、イラクはまだ自国をコントロールする力がないことを宣伝する。第三に、イラクの民主化について一切報道しない、ということである。

「新・抗米援朝」戦争

南シナ海問題で米国から譲歩を引き出したい狙いや、武力行使も含めてアジアにおける指導力および民主主義制度の推進を進める米国に対抗する目的から、北京政権は、北朝鮮を利用すると同記事は指摘する。北京政権が最近、金正日政権との関係の緊密ぶりを誇示しているのはそのためである。このほど中国国家軍事委員会副主席に就任し、次期指導者に内定したとされている習近平氏の主要業務は、朝鮮半島問題への対応だと言われている。

10月25日、習氏は朝鮮戦争60周年記念式典で「偉大な抗米援朝戦争は侵略に対抗した正義の戦争だ」と発言し、中国が当時北朝鮮を助けて朝鮮戦争に参戦した正当性を強調した。中国国内でも波紋を呼んでいた中国の次期リーダーの同発言に、中国外交部はその後の定例会見で「習副主席が中国政府を代表してこの問題に対する立場を明らかにした」と説明した。朝鮮戦争に関する中国の公式見解は、「祖国と社会主義陣営を守り抜いた戦争」との定論が伝われている。

また現在、北朝鮮のテレビでは、中国義勇軍に志願して朝鮮戦争で戦死した毛沢東の長男・毛岸英を材題にした連続ドラマが放映されており、中朝は60年前の盟友関係を強化しようとしている。

中国による北朝鮮支持の姿勢は、政治的な立場の表明だけには留まらない。『動向』の同記事によると、中国は金政権に対して「新抗米援朝」の政策を実施している。つまり、軍隊は派遣していないが、大量の軍備用品や資材、技術を中国が供給しているというのだ。北朝鮮軍が現在使用している火砲密集攻撃による戦術、および資材や技術の面から見ても、いずれも中国から来ていると考えられる。中国も、砲撃技術や資材等を北に供給している事実を隠そうともしていないようだ。

北朝鮮問題を利用して米日を牽制

米国の南シナ海問題で譲歩を引き出すために、北京政権は北を扇動して「事件」を起こすことも躊躇しない。例えば、米国は6カ国協議の再開に諦め、冷淡化するならば、北京政権は、平壌を煽ってことを構える。朝鮮半島で再び戦争を起こしても構わない。当然、金政権が崩壊まではいかないように、戦争の規模を中国がコントロールできる範囲内に抑える。

更に、尖閣諸島問題で、米国は尖閣諸島が日米安保条約の対象であると表明し、日中関係を緊迫させた。米国のこの行動の背景にオバマ政権が中国と並べて世界を統治する「G2」構想の破滅が敷かれている。そのため、米国は第二次世界大戦以来、最大の軍事力を投入してグアム基地の軍備を増強し、2020年前後に中国との間で海上戦争が起きる可能性に備えている。

このような表面化した米中対立の中、北京政権は国内世論の不満を招いても北朝鮮との関係を強化している。『動向』の同記事によると、現在中共軍の内部で「北朝鮮にいくらでも援助する。決して北朝鮮を韓国や米国に買収させてはいけない」との意見が流行している。

同記事によると、10月末、中国と北朝鮮の間、2千万人民元相同の銅鉱石と榴弾砲搭載の戦車が実物貿易の形で交換された。中国が北朝鮮に提供した戦車は計15台で、中国瀋陽市で検収したばかりのモデルの改良版という。

一方、北朝鮮には、核をめぐる六カ国協議を再開したいことと、中国からの強力な援助を失いたくないという二つの目的がある。北の軍事力は、韓国や日本にとって実質的な脅威にはならないが、「偶発事件」を起こす能力には熟練している。利害関係が一致した中朝は朝鮮半島を戦争状態に追い込もうとしており、その時期は2012年前後だと『動向』の同記事は見ている。

(翻訳編集:高遠/趙莫迦)