【大紀元日本10月14日】人民日報元社長・胡績偉氏を含む中国共産党の元幹部や政府系報道機関の元責任者ら23人が11日、憲法で守られているはずの言論・出版の自由が事実上厳格な統制を受けている状況を痛烈に批判する公開書簡をインターネット上で発表した。同書簡は発表して間もなく、中国国内サイトから姿を消した。
書簡発起人の23人には、胡氏のほか、故毛沢東主席の元秘書・李鋭氏、新華社の元副社長・李普氏、国営英字紙中国日報の編集長・于友氏、中国政法大学元学長・江平氏などの著名人が名を連ねた。23人のほか、476人が同書簡に署名した。
書簡は「1982年施行の中国憲法35条は言論、出版、集会、結社、デモの自由を保障しているが、党・政府機関の執行細則により否定され、28年間この条文が実現されたことはない」と指摘。さらに、書簡は、このような「原則承認・実質否定」のやり方は偽民主主義であり、世界民主主義史上の醜聞だと痛烈に非難した。
主要発起人の一人で、著名記者の黄澤栄氏は、米VOAの取材に、「新聞は社会の目であるべきだが、現在は党の代弁者となっており、報道は極めて不公正である。特に近年更に利益集団の代弁者となっている」と話した。今回の公開書簡の動機について、権力階級の利益に触れた報道をした記者らが現地政府当局に復讐され、公安警察に逮捕されるという事件が最近頻繁に発生していることがきっかけであると紹介した。
同氏の話によると、書簡に署名した約500人は、9割以上が党の幹部で、6割以上が報道機関の関係者。新聞業界の元老らはほとんど署名したという。
中共宣伝部は「見えない黒い手」
また、書簡では、胡錦濤総書記が2003年2月に内部会議で「共産党は改革、改造しなければ自然に絶命する」と述べたことにも言及した。また、最近の温家宝首相の政治改革と言論の自由に関する一連のスピーチが政府メディアに削除されたことにも触れ、現行の厳しい言論統制は「見えない黒い手」によって行われていると指摘した。
「統制の責任者を突き止めたくても徒労に終わるに違いない。『黒い手』も自らの行動が憲法違反とわかっているため、決して姿を現さない。彼らは匿名電話で『この人の作品は出版できない』『あの件は報道してはならない』と具体的に指示する。これらの指示は必ず執行しなければならないが、指示があったことは決して漏らしてはならない」と書簡は言論統制の現場を暴いた。
さらに、書簡は、「見えない黒い手」はすなわち「中宣部(党中央宣伝部)」であると断じた。
中宣部などによる検閲やネット上での言論封鎖を廃止しない限り、言論・出版の自由は「絵に描いた餅」だと指摘し、全国人民代表大会(国会)常務委員に対し、新たに「新聞出版法」を制定することで、憲法35条で認めた国民の権利を実現するよう求めた。
書簡で提起された新聞・出版の改革案
書簡では、一連の新聞出版の改革案を呈示している。
1.メディアの独立運営を実現する。現状の党の管理組織の下に置かれている実態から脱却し、メディアの責任を社長・編集長に帰する。
2.記者の社会的地位を保証する。集団抗議事件の報道や汚職官僚の暴露は記者の責務であり、彼らの身の安全を保障しなければならない。地方政府や公安が勝手に記者を逮捕するような違法行為を直ちに制止しなければならない。
3.メディアの他省での取材活動への制限令を廃止する。記者に中国全土での取材の自由を保証する。
4.インターネットは情報や意見の交流の場であり、国家機密やプライベードの侵害に関わる言論以外、任意な情報削除や操作を中止し、ネットスパイや「五毛党(世論誘導のためにネット書き込みを仕事とする人)」を取り締まる。
5.共産党の歴史を公開する。国民は執政政党の過ちを知る権利がある。
6.「南方週末」や「炎黄春秋」を試行民営紙とする(2紙とも気骨ある報道で人気)。新聞の民営化は政治改革の方向である。
7.中国の一部である香港やマカオの書籍や新聞を大陸でも発行する。
8.中宣部などを含む宣伝機関の機能転換を図る。
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