【大紀元日本8月13日】中国社会研究会会長で北京理工大学の胡星斗教授は10日、自身のブログで「中国の破滅への道と生き延びる道」と題する胡錦濤主席への公開書簡を掲載した。同書簡のなかで、中国は未だ正当な治国の道を歩んでおらず、権力の乱用、正義や公平への冒涜(ぼうとく)は中国を破滅へと向かわせていると指摘し、政治改革と公平の実現のみが中国の生き延びる道だと論じた。
破滅への道[その1] 以“邪”治国
「以正治国」、胡教授は書簡の冒頭で老子の言葉を引用して国を治める基本を主張した。今の中国の治国の手法は老子が言う「正道」から外れており、一部の地方政府は「邪」な手段さえも用いていると指摘した。
「彼らは嘘、暴力、陥れ、強制労働、マフィアとの絡みを利用し、異を唱える人士を地下監獄や精神病院に入れ、記者や告発者を無断逮捕するなど、自らの権力と利益のためには手段を選ばない」と強く批判した。
5月27日付の社会科学報によると、昨年の中国の国内治安維持費は5140億元(約6兆5千億円)に達し、軍事費の7兆6千億円に迫る数字となっている。そのなか、公共安全維持費は前年比1.5倍となり、これらの数字は一方で、民権の窮境・官の堕落・政府の信頼度の喪失を示し、国家財政も圧迫されていることを示していると胡教授は指摘した。
「公平と正義の滅亡は、中国で最も憂慮すべきことであり、政府の最も失敗したところでもある」
破滅への道[その2] 三進三退
胡教授はさらに、中国社会で蔓延する「三進三退」は歴史の発展に反すると論じた。
「三進三退」とは、「国進民退」(国有企業が躍進、民間企業が後退)、「官進民退」(官の権利が肥大、民の権利が萎縮)、「人治進・法治退」の3つ。
世界企業ランキング500に中国の多くの国有企業がランクインしたが、民間企業一色の他国とは好対照となっている。国有企業への国の財政投入は、市場メカニズムを破壊し、官僚経済・権力経済という病的な経済モデルを作り上げた。さらに、権力者の権利の肥大化や法治の後退も加わり、腐敗や社会配分の不当がもたらされ、多くの社会的不安が生み出されたと胡教授は指摘した。
破滅への道[その3] 3つの一体化
「行政・立法・監督・司法の一体化」「官・商の一体化」「党・政の一体化」は、現代文明への冒涜だと胡教授は批判した。このような体制は必ず腐敗であり、横暴であり、野放図であり、国民に憤慨されると指摘したうえで、政治体制の改革や権力構造の改革を行わない限り、中国社会はますます道徳が堕落し、破滅へと向かう一方だと警告した。
一方、政治改革を通し、「憲政」と「公平」の実現こそが中国が生き延びる道だと胡教授は続けて論じた。
「憲政」とは、「限政」(※)、つまり、政府を牽制する体制を意味し、一方では「憲法の政治」、つまり、法治国家を意味している。「憲政」の遂行で初めて、正義と公平が得られ、三進三退や3つの一体化が抑制され、老子の言う「以正治国」が実現できるのだと胡教授は主張する。
※中国語では、「憲政」と「限政」は同音。
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