賠償金未払い、農民千人が抗議=中国重慶

2008/11/27
更新: 2008/11/27

【大紀元日本11月27日】中国四川省重慶市開県・高升炭鉱の採掘により、地元の生態系が破壊され、農民の生計が影響を受けたことで、地元農民らがこのほど抗議活動を行った。これに対し炭鉱経営者は暴漢らを雇い農民に暴力を振った。農民20人以上が負傷し、憤慨した農民に民衆約千人が抗議に加わり、警察車両など十数台を破壊した。しかし、この衝突を引き起こした主な原因について、農民らと炭鉱側は共に地方政府関係者の汚職腐敗がもたらしたものと指摘した。ラジオ自由アジア(RFA)が伝えた。

重慶市開県高橋鎮の高升鎮の高升炭鉱の採掘作業で、地元の飲み水が飲めなくなり、家屋が壊れるなどのことから、青山村の民衆は採掘作業を止めさせようと炭鉱の入り口を遮った。この抗議活動に対し、炭鉱側は11月21日に100人以上の暴漢を雇い、権利を主張する村民らに暴力を振るった。

情報筋によると、高橋鎮診療所関係者は、21日に衝突事件で負傷した村民十数人を手当したことを認めた。また、開県県長の指示で治療を受けた者全員が県人民医院へ移動させられたという。診療所関係者らによると、衝突の具体的な原因は分からないが、重傷を負っている者もいるという。

情報筋によると、当日、事件が発生してから、周辺の村から応援に大勢の民衆が現場に駆けつけたという。警察はそのあとに到着したが、暴力を振るった炭鉱側には、直ぐに対応措置を施さなかった。地元村民・李さんによると、ようやく到着した警察は炭鉱側をかばい、その態度がさらに民衆の怒りを引き起こしたという。李さんは、「大勢の人が現場まで駆けつけた。炭鉱側は民衆を殴打し、民衆は110番に通報しようとしても、警察は電話に出てくれなかった。しかし、炭鉱側の者が殴られると警察がすぐに止めに出てくる」と訴えた。RFAの記者が高橋鎮派出所に問い合わせたところ、ノーコメントだった。

重慶の地元メディアによると、「衝突で数人が軽傷を負い、車や設備も異なる程度で破壊された。群衆はすでに解散し、事件は終息した。負傷者は治療をうけ大事に至らなかった」という。一方、大陸の華龍ネットでは、高升炭鉱工場長と副社長は21日に、手に棍棒を持つ約100人の暴漢を率いて、農民たちに暴力を振るったと報道した。

内情を熟知する者のインターネットの書き込みによると、炭鉱側は2007年に飲用水建設と家屋修繕用の賠償金として450万元(約6300万円)を関連する政府部門に渡した。しかし、いまだに農民の手元に届いていない。また、2008年初めから、炭鉱側と付近の村民の間でトラブルが絶えず、双方がそれぞれの言い分を主張していたが、11月に、炭鉱側と村民間での話し合いの中で、炭鉱側はようやく賠償金としてさらに30万元(約420万円)を追加した。しかし、双方は地元住民に渡る具体的な金額と支払い方法についてまだ協議に達していない。

高升炭鉱関係者によると、地元村民らは、炭鉱の採掘阻止の行動を取ってすでに一ヶ月が過ぎ、炭鉱側から政府に対しても何度も賠償金支払いの協力要請を行ったが、当局は一向に動かなかったという。この関係者は、「衝突が発生した際、われわれ従業員は現場にいなかったから、具体的な状況は分からない。しかし、地元の農民たちはすでに1か月以上抗議しているにもかかわらず、政府から農民たちに賠償金は支払われていない。実際、政府関係者に汚職が多く存在し、農民たちも当局を信用していない。被害者である農民たちの心情は、われわれも理解できる。実際、農民たちは炭鉱側からの賠償金を直接渡してほしいとの要望だが、これほど大きい炭鉱なので、政府を通さなければ後になって問題が起きると思うし、本当に困っている」と嘆いた。

一方、地元行政府関係者はこの炭鉱の出資に関与しているという。村民は、「郷政府、鎮政府関係者が炭鉱の株を所有している。地方幹部、県一級政府関係者までが腐敗している」と語った。

(翻訳編集・余靜)