米放送管理局が転向、対中国唯一「情報・自由の窓」閉鎖の危機

2008/07/31
更新: 2008/07/31

【大紀元日本7月31日】海外独立系中国語放送局・新唐人テレビNTDTV、本部・NY)は、先月から中国大陸向け衛星放送の信号が衛星使用提供先の欧州衛星大手ユーテルサット社(本部・フランス)により一方的に中断された事件で、多くの支持者から関心を得たにも関わらず、中国向けの放送信号が依然回復されない事態が続いている。7月下旬、状況は悪化し、「中国大陸の空に情報の自由の窓を開いた」と評価されるNTDTVの中国大陸向け放送は、さらに大きな危機に直面している。

ユーテルサット社の衛星をリースしている米国政府放送管理局(Broadcasting Board of Governors、BBG)が、中国向け放送衛星のリースを中国政府管轄の衛星に切り替え、ユーテルサット社との衛星使用契約を今年7月31日付けで中止すると決定した。米放送管理局の決定につき、ユーテルサット社は先日、NTDTVに7月31日付けで衛星使用契約中止の通告を出した。

NTDTVは海外華人が運営する最大の中国人向け独立系中国語放送局。本部がニューヨークにあり、全世界で七十以上の取材拠点を設け、中国当局の検閲を受けず中国国内の情報を報じるのが特徴。中国本土では、約4千万から6千万世帯の家庭が受信できるほか、全世界で約2億人が視聴可能。

6月16日、NTDTVの中国大陸向け信号が突然中断された。衛星提供先のユーテルサット社が、技術的な故障と説明した。しかし、国境なき記者団が提供したユ社の上層幹部の談話録音により、今回の放送信号の遮断は、ユ社が主張している技術的な故障ではなく、中国当局と連携した政治的行動であるのが明らかにされ、駐イタリア中国大使が本件への関与を認める電話録音も公表された。

NTDTVの広報説明によると、「02年に米国ニューヨークで設立してから、中国当局から度重なる業務妨害、脅迫などを受け続けてきた」という。中国当局からの背後の強い圧力により、2005年3月にも、ユ社は合意されていたW5衛星の長期使用契約の更新を拒否する出来事があった。

その際、米議会が米放送管理局(BBG)に対し、所管の対中国放送ラジオ局「米国の声」(VOA)とラジオ自由アジア(RFA)について、ユ社のW5衛星を使用するよう要求、W5衛星の周波数を中国から外そうとするユ社をけん制した。また、すべてのアジア自由メディアにW5の衛星使用を提供するようユ社に求めた。それに加え、米国の百人以上の両院議員や、欧州連合とカナダの約百数十人の議員、国境なき記者団、国内外の視聴者の声援により、最終的にユ社は通告を撤回してNTDTVとの契約を更新した。そのことについて、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ユ社の経営陣は中国マーケットに食い込むためにNTDTVとのビジネスを駒として「活用」、中国当局との交渉に使おうとしている、などと報じた。

NTDTVスポークスパーソンのケリー・ホン氏によると、「米議会の当時のこの決定は事実上、中国の上空で自由に情報を伝達できる窓を開いた。その結果、NTDTVのような非政府系の中国語自由メディアもこのプラットフォームを使って、中国当局に封鎖される情報を中国国内の人々に伝達することができた」と説明した。

BBG内部筋によると、過去数年間、中国当局は対BBG工作を続けてきた。そのため過去一年間、BBG内部に大きな変動が生じた。BBGはユ社とのW5衛星の使用契約を中止するほか、去年末から、所轄の米国VOAとRFAの放送を実質上中国当局がコントロールする香港のアジア3号衛星(Asiasat 3S)の使用に切り替えた。

ケリー・ホン氏によると、技術的な故障と説明、NTDTVの中国向け衛星放送の信号を一ヶ月以上遮断してきたユ社だが、それを受け、「BBGとの衛星使用契約の中止に伴って、同社との同衛星の使用契約をも取り消しする」と一方的に通告してきたという。

ケリー・ホン氏は、「NTDTVの放送が観られないことは、新鮮な空気を吸えないのに等しい」などの中国国内視聴者からのフィードバックを紹介した。NTDTVの中国向け衛星放送再開のため、米国政府を中心とする各国政府、産業界、人権団体、国内外の視聴者に対し、下記の米政府機関に電話、ファックス、メールなり、BBGに衛星使用をユ社に維持させ、NTDTVの中国大陸向け放送信号を回復させるよう要請すると呼びかけている。

米下院 Pelosi議長

Tel. (202)225-4965

Fax:(202)225-8259

Email:sf.nancy@mail.house.gov.

米下院Lowey議員

Tel:202-225-6506

Fax:202-225-0546

米下院Wolf議員

Tel:(202)225-5136

Fax:(202)225-0437

米下院Schiff議員

Tel:(202)225-4176

Fax:(202)225-5828

米上院Leahy議員

Tel:(202)224-4242

Email:senator_leahy@leahy.senate.gov

米上院Durbin議員

Tel:(202)224-2152

Fax:(202)228-0400

米ライス国務長官

Tel:(202)647-9572

Fax:(202)647-2283

BBG Executive Director Mr.Jeffrey Trimble

Tel:202-203-4545

Fax:202-203-4568

Email:jtrimble@bbg.gov

米国家安全委員会顧問Hadley氏

Tel:(202)456-9491

Fax:(202)757-5529

ホワイトハウスEmail:president@whitehouse.gov

(翻訳・編集/叶子)