中国当局、臓器移植で世界医学学会と合議書=疑問視される実効性

2007/10/09
更新: 2007/10/09

【大紀元日本10月9日】中国当局の衛生部(日本の厚生省に相当)幹部は10月5日、直系親族を除いて、囚人あるいは他の監禁者の臓器移植しないとする合議書を世界医学学会と交わした。中国の死刑囚の臓器提供については、これまで、専門家などから、死刑囚の同意は強要された可能性が高いとみられており、さらに、臓器供給源が明らかにされていないことから、その実効性が疑問視されている。

世界医学学会は昨年、臓器提供者の自由意志と、情報を知る重要性を強調するため、関連決議案を可決し、囚人とその他の監禁者は自由決定権のない環境に置かれていると定め、中国医学学会に対し、囚人の臓器提供をやめるよう要求し、国内の医師は死刑囚の臓器摘出・移植に参加しないとの約束を求めた。

世界医学学会会長のエドワード・ヒル(Edward Hill)博士は、この問題について、中国医学学会と引き続き協議していくと示した。

AP通信は、中国で闇臓器取引が氾濫し、全国の臓器移植の4割を占める外国人への臓器移植の主要ルートであると報じた。欧米のように数ヶ月あるいは数年間を待つ必要がなく、仲介業者が数週間以内に移植臓器を手配すると伝え、「いま、中国は米国に続き、世界第2の臓器移植大国となっている。しかし、臓器提供源の不明、移植患者の登録不備、追跡調査の混乱などの問題が国際社会に非難されている」と報じた。

2006年11月15日、臓器移植関連の全国会議で、衛生部の黄潔夫・副部長は、中国の臓器移植医療機構の管理は混乱であると認め、国家のイメージと名誉を著しく傷つけし、患者の健康にも危害を及ぼすとし、早急に改善すべきだと発言した。

中国当局の関係者はこれまでに、死刑囚からの臓器摘出について、矛盾した説明を繰り返してきた経緯がある。国際保健機構(WHO)のマニラでの会議で2005年7月に、当時の衛生部の黄潔夫副部長は、中国の臓器提供者の大半は死刑囚であると認めていた。翌年3月28日、中国当局の秦剛・報道官は定例記者会見で、「中国で死刑囚が臓器移植のドナーとして使われているうわさは、真っ赤な嘘であり、中国の司法制度に対する悪意の攻撃だ」と発言した。同年9月27日、秦剛・報道官は前回の発言を覆し、中国での死刑囚による臓器提供を認め、司法機構の審査を経て、死刑囚本人の同意を得ていると説明した。

一方、2006年3月、中国の強制労働収容所や、軍の病院などで生きた法輪功修煉者からの臓器強制摘出・売買が進められているとの内部告発が出された。

その後、カナダの人権弁護士デービット・マタス氏と元国会議員デービット・キルガー氏は独立調査を行い、調査報告書を公表、計30項目以上の証拠を採用し、「2000年あるいは2001年から、中国国内での臓器移植数が急激に上昇、これまでの合計で約4万1千5百件も増えた、死刑囚と親族による安定供給では説明がつかない」との調査結論を下し、生きた法輪功修煉者への臓器摘出の信憑性を示した。

また、欧米諸国の政界関係者、人権活動家、弁護士、医療関係者が結成した「法輪功迫害真相調査連盟」(CIPFG)は、中国国内での現地独立調査を求め続けているが、中国当局に拒否されている。

(記者・田清、翻訳・編集/叶子)