【大紀元日本9月28日】台湾人2人が中国当局のスパイだったとして23日、台北で逮捕された。現在、取調べを受けている。
逮捕されたのは、台湾調査局の経済犯罪捜査部門捜査員・林羽農(54)と元捜査員・陳志高(55)。長期にわたり、調査局の内部情報を収集し、中国当局に提供するなど、機密漏えいの容疑がもたれている。
調査局は長い間、両容疑者の尾行・監視を続け、23日午前、台北市内の喫茶店で2人を逮捕した。現場では、林容疑者が陳容疑者に機密情報を渡し、謝礼の3千ドルを受け取っていたという。
陳・容疑者はかつて、調査局の経済犯罪捜査部門に在職していた。1997年に退職、中国でビジネスを始めたが、その時に中国の国家安全局(中国当局の諜報機関)のスパイになったとみられ、その後は台湾の機密情報の収集を繰り返してきたという。
陳・容疑者が調査局の元同僚に執拗に内部情報を尋ねていたため、不審に思った同僚が上層部に報告し、同容疑者に対する厳重な監視が始まったという。
調査局は、陳・容疑者と現職捜査官の林・容疑者が既に2年前に接触を始め、情報提供の見返りとして、高額の謝礼が支払われていることを把握した。2人は頻繁に台湾で接触し、資料と報酬の受け渡しを行っていたという。
台湾側は、以前から両容疑者の行動を把握しているため、重要な機密情報の漏洩はないとしている。また、林・容疑者が調査局で経済犯罪の事案に関わっているため、中国当局は台湾の経済動向を把握しようとしているのではと、台湾側は分析している。
台湾と中国は近年、経済的な関係がますます緊密となる一方、中国スパイの問題が頻繁に浮上し、軍事情報のほか、経済情報がターゲットになっている。
米紙「Defense News」は今年4月、「中国は台湾で情報ネットワークを拡張している」と題する記事を報道した。台湾に潜伏する中国当局のスパイが激増しているという。
同紙は台湾国防部の前副部長・林中斌の発言を引用、台湾で暗躍する中国当局のスパイは5千人を超えると報じた。それに対し中国側は、そのような事実はないと否定している。
台湾調査局は、汚職などの犯罪を専門的に捜査する政府機関である。その捜査員が中国のスパイになった今回の事件は、台湾社会に衝撃をもたらしている。