【大紀元日本7月14日】メキシコ連邦情報局は今年3月、麻薬取り締まり活動で、メキシコ国籍の華人・巽叶(音訳、コンイェ、44歳)容疑者の自宅で2億7百万の米ドル現金を発見した。別荘のタンス、箱の中はすべて札束だったという。また、8台の高級乗用車と7丁の拳銃も見つかった。
メキシコ当局は、巽叶容疑者の別荘で発見した金は、「全世界有史以来、麻薬取り締まりで押収した最高額の金」と公表。また、メキシコ当局は国際警察組織の協力を要請、189の国に「紅色指名手配令」を発動、失踪した巽叶容疑者の逮捕に総力を挙げている。
メキシコのモラメディ検察長官は、「証拠によれば、この華人実業家は、偽造薬物エフェドリンの密輸に関与している。この巨額な現金は、これらの薬物違法売買の活動と関連している」と表明した。
最近、巽叶容疑者が米国に現れ、AP通信の記者の取材を応じ、「私は違法薬物の売買などしていない。メチルアンフェタミンはどんなものであるかすら知らない」とし、別荘に隠していた巨額な現金の大半は、メキシコのカルデロン大統領の違法所得であり、自分は金の保管を強要されたと主張している。
巽叶容疑者の話によると、昨夏、メキシコ政府の一部の高官らは、同容疑者の自宅に米ドルを目いっぱい入れた袋を大量に運んだ。一つの袋には500万米ドル。このような運搬は十数回あった。そして、昨年8月、これらの高官は、ポータブルの防空ミサイルを入れてあった箱4つを運んできたが、同容疑者は保管を拒否したという。
メキシコ国内紙は巽叶容疑者の話を引用し、「これらのメキシコ高官らはどうして、自分(同容疑者)に金の保管を頼んだのか、まったくわからない」と報じ、メキシコのアラルコン・現任労働大臣が巽叶容疑者に、金の保管に協力しなければ、殺すと脅迫したという。
いま、巽叶容疑者は米国の友人宅に住んでいるという。同容疑者は「私はこのような生き方をしたくない。早急に事実が確認されるのを望んでいる」と話した。同容疑者の米国弁護士は、ワシントンのメキシコ大使館に書簡を提出、依頼人に「特別な待遇」を処すよう求めた。また、同弁護士は、メキシコの国民行動党を公開提訴する構えも示した。
報道によると、巽叶容疑者の自宅から押収された金は、いま、メキシコの政府財政管理機構に所管されているという。
メキシコ政府は、巽叶容疑者が大統領のために金を隠していたと主張することについて、「捏造である上、しかもとてもおかしい」と反論し、政府公告で、「これらの人たちはメキシコ政府をゆすろうとしている。彼らの証言はうそで、まったくのでたらめである。政府が巽叶容疑者に法的裁きを受けさせるのを阻止するためだ」と説明している。
メキシコのモラメディ検察長官はテレビ取材で、「この華人実業家は、メキシコで大規模な工場を設立、麻薬を加工している。今、米国市場の麻薬メチルアンフェタミンの8割はメキシコからのものである」などと示し、「この華人実業家は明らかに、偽造エフェドリンの密輸に関与している」「この巨額の現金は、これらの麻薬密売から得た利益」と述べた。
モラメディ検察長官によると、昨年12月、ラザロ・カルデナス港で19トンの偽造エフェドリンを積んだ違法船舶を発見したため、メキシコ当局は巽叶容疑者への調査を始めた。当時、同容疑者がこれらの化学薬品を自らが経営する製薬会社に運搬しようとしていた。後に麻薬密売人に売りさばき、麻薬メチルアンフェタミンの製造原料に使う予定だった。容疑者の自宅に隠されていた巨額ドルはこの19トンの偽造エフェドリンの案件と関連しているため、容疑者は米国に逃亡したという。
それについて、巽叶容疑者は、「この19トンの偽造エフェドリンは、風邪薬の製造に使う原料。メキシコ当局はこれらの化学薬品の分析報告書を改ざんした」と反論。
巽叶容疑者は、AP通信の記者に2つの報告書をみせた。その一つは、米国の麻薬取締機構の前幹部が作成したもので、「これらの化学薬品の分析報告は、明らかに改ざんされた痕跡がある」と指摘した。
現在、巽叶容疑者のメキシコにあるすべての銀行口座、中国香港と米国の口座はすべての口座は、凍結されている。メキシコ当局は同案件と関連する11人を麻薬密売、組織犯罪、マネー・ロンダリングの容疑で逮捕した。その中には、巽叶容疑者の妻の弟・于馬思(音訳)もいる。
巽叶容疑者は上海生まれ、1990年メキシコに移民、2002年メキシコ国籍を取得。メキシコで繊維や、服装、靴類などの輸入貿易に従事し、後に、メキシコ税関が押収した品物を転売することで、富をなしたという。
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