【大紀元日本4月28日】インターネットで民主・人権について言論した文章を発表し、中国政府に逮捕され、10年の刑を言い渡された北京ネット作家・王小寧氏の妻・兪陵さんはこのほど、法的援助を求め米国を訪ねた。兪さんは4月18日に米人権団体と北カリフォルニア州連邦地方裁判所に同行し、米大手検索エンジン企業ヤフーが、中国当局へ王氏の個人情報を提供した違法行為に対して提訴した。4月19日午後、瑜さんは市政府庁舎前で、記者会見を開いた。これに対して、ヤフー側は、同件が政治問題であるとし、外交による解決法を求めるべきであり、法律による解決ではないと主張した。
*個人情報を北京政府へ提供
王小寧氏の個人情報はヤフーによって北京政府に渡されたために逮捕された。王氏は、獄中で殴打および虐待を受けたことから、兪さんと同行した米国ヒューマン・ライツ世界組織(The World Organization for Human Rights USA)総裁のモートン・スカラー氏は、ヤフーは拷問等禁止条約に定められた犯罪を教唆したとして訴えた。
今回の訴訟は1789年に採択された外国人不法行為賠償請求法(Alien Torts Claims Act)および1991年に採択された拷問被害者保護法(Torture Victims Protection Act)に基づいたもので、米国において、インターネット検索エンジン企業が中国で行った行為に対するケースとしては初めて。。
兪さんおよびスカラー総裁は、米連邦裁判所からヤフーに対して、王氏およびその他拘束されている体制批判者らが解放されるよう協力を求めて欲しいと訴えた。スカラー総裁は「ヤフー側は中国政府に対して、北京当局が王氏らを釈放させるよう圧力をかけ、合法的な協調ができる」と強調した。
*ヤフーが提供した個人情報で、2つの罪状を促した
兪さんは米メディアに対して「ヤフー側が、このような過ちを二度としないと保証して欲しい」と訴えた。兪さんによると、中国当局による王氏に対する起訴状および判決書類で、4つの罪状の内、2つはヤフーが提供されたウェブサイト情報によるものだという。
政治改革に関するネット刊行物を発行している北京ネット作家・王小寧氏は2002年9月1日に、北京当局に秘密裏に連行され、同年9月30日に正式に逮捕された。2003年9月12日に「国家政権扇動し転覆する罪」で北京市第一中級人民裁判所に10年の刑を言い渡された。前出のスカラー総裁は取材に対して、ヤフーが関連している類似案件は他に3件があり、それぞれが、現在、湖南省で服役している師濤氏、四川省および遼寧省のネット作家の李智氏と姜力鈞氏であると指摘した。
*中国の法律を遵守すべきと主張するヤフー
一方、米ヤフーのスポークスマンのカリナン氏は、すでに法律手続きが行われた案件に関して、直接にコメントはしなかった。カリナン氏は、「如何なる企業であれ中国でビジネスを展開する以上、必ず中国国内の法律を遵守しなければならない。従わなければ、現地社員が刑罰を受ける可能性がある。中国でも米国でも、他のどこの国でも、政府から法律に則り、合理的な要求が出されれば、企業はその法律に従い情報提供をしなければならない。同件について、背後にどんな動機があっても、我々は当時、中国政府に協力するしかなかった」と強調した。
これに対して、スカラー総裁は「ヤフーは中国裁判所から下達された召喚状や令状を受けたことがなく、ヤフーは自発的に個人情報を提供したのだ」と反論し、「ヤフーは中国政府の深刻な人権問題について、知らないことは到底考えられないのだ。ヤフーは積極的に人権蹂躙に関与し、中国政府に対して人権を踏み躙ることを助長してはいけない」と非難した。
*ヤフー側、政治・外交問題であると主張
これに対して、カリナン氏は人権議題の重要性を重々承知しているとし、しかし、これは政治議題および外交問題であり、法律手段によって解決するものではないとの見解を示した。カリナン氏は「インターネットで自己の政治意見を表現したために、中国政府またはその他の如何なる政府に逮捕され投獄されたすべての公民に対して、ヤフー側が痛く悩み、悲しく思う。ヤフーはこのような行為に反対するし、米国務院に対して同問題を最優先議題として、検討され、中国政府と交渉を続けられるよう、また、体制批判者たちが最終的に釈放されるよう呼びかけている」と強調し、中国におけるヤフーのサービス提供は、中国民衆の生活改善に役立つと主張した。
法律専門家は、人権団体とヤフーの両者の法律における戦いは、法律の観点から見た場合、非常に難しいとみている。米スタンフォード大学法学院のアイルンウィナー教授は「王小寧氏の罪名成立に対して、ヤフーはあくまでも間接的に関与しただけで、王氏が中国政府に拷問されたことについて、証拠が必要であり、それがなければ勝訴するのに困難である」との見方を示した。
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