【大紀元日本2月18日】イタリア警察当局が摘発した武器密輸グループから、中国およびロシア製の武器はリビアとイラクのテロ組織へわたっていることが明らかになった。専門家は、中ロは大国の立場を利用し、危険な国への武器流出を厳しく阻止すべきであると指摘する一方で、米中ロは現段階では、武器密輸の問題で3国間の協力関係を崩すことはしないとの見方を示した。
*中国およびロシアの軍力
イタリア当局は、2月12日にテアルニ市で麻薬販売グループを摘発した際、4人の武器密輸容疑者も逮捕した。そのうちの1人はシシリ島南部のマルタ共和国に企業を有している会社経営者で、中国およびロシアからの武器はマルタ島を経由して、リビアとイラクへ供給しているという。
米CNNテレビの報道によると、摘発活動に参加したイタリア軍部警察のアモラス中佐は、密輸グループは1回目の武器は中国製のもので、6丁のAK47小銃の見本はすでにリビアへ密輸されたとし、計50万丁の同型小銃および1千万発の弾薬はリビアへ発送されると予測している。
報道によると、2回目の武器輸出は、ロシアからイラクへ密輸される10万丁のAK47小銃および自動小銃に関連するという。しかし、2回目の密輸は計画段階にあり、武器の運搬は行っていないという。
*米中および米ロ関係に影響
米ジョージア大学アジア研究項目主任のスリワスタワ博士は、武器密輸は米中および米ロの関係に大きく影響すると指摘した。同氏は「国際責任を担う中ロ大国は、イラクとリビアのような危険国家への武器流出を全力的に阻止すべきだ。そうでなければ、国際社会がこれらの国々における秩序および法治回復のために費やした努力を無駄にしてしまう」と強調した。
*武器はすべて中国製
スリワスタワ主任は、中国は核拡散を制止する国家として、また、弾道ミサイル技術制御条約への加入申請を行っているにも関わらず、中国が世界各地への小型および軽量型武器販売実情を公開しないこと自体が問題であると指摘した。同主任は、中国が国連に提出している軍備技術年度報告の内容の多くは不完全なものであり、それこそが問題の根源であると強調した。
スリワスタワ主任は、「実際、ここ数年間、ロシアから出てきた戦闘用小銃および機関銃はすべて中国で製造されており、これらの小銃はアフリカおよびラテンアメリカ諸国へ販売されている。従って、中国はこの種の武器の移転をさらに制御し、危険国家に対する武器禁輸に参加し、国連関連部門に対して完全な軍備報告の提出が必要である。中ロ両国は特に国連安保理の理事国としての作用を発揮すべき、地域性の流血衝突事件を防ぎ、悪事を働くグループへの武器流入を阻止すべきだ」と強調した。
*米中関係、微妙な段階
スリワスタワ主任は、米中は北朝鮮における核兵器に関する協議を行っていることから、米中関係は微妙な状態におかれているため、米側は今回の武器密輸を大げさに議論せずに、水面下の協議によって解決を図るとの見解を示した。
スリワスタワ主任は「中国は今回、北朝鮮に関連する6カ国協議では、こう着状態を打破し、各国との協調を図る協力姿勢を示したことに対して、米側は評価したため、今回の武器密輸問題で、米中関係を崩そうとはしないであろう」と分析した。
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