【大紀元日本2月2日】中国の臓器狩り事件を調査するカナダ独立調査団のデービッド・マタス氏(国際人権弁護士)およびデービッド・キルガー氏(カナダ政府元大臣)は1月31日、オタワ議会で「残忍な生体臓器摘出―中国における法輪功学習者を対象にした臓器狩りの告発に対する調査報告」の追補改訂版として、これまでの18の論証方法から33へと拡充した。
両氏は約半年の時間を費やし、同件について調査を続け、新たに16項目の挙証および反証を獲得し、生きた法輪功学習者を狙った臓器狩りが行われ、売買されている犯罪が中国に現存していることを立証した。両氏は各国政府へそれぞれの国民が中国への臓器移植を制止するよう、また、中国へ薬物の輸出を禁止し抑制するよう呼びかけた。さらに、国際社会に対し、オリンピック開催を通じて、中共へ圧力をかけ暴挙を停止させるよう呼びかけた。
*臓器移植患者を取材
デービッド・マタス氏とデービッド・キルガー氏は2006年7月6日にカナダ・オタワで初めて同報告書を発表したのち、30カ国を訪れ多くの臓器移植患者と接触し、事情調査を行った。
調査の中で、上海第一人民医院(軍用医院)で腎臓移植手術の患者の証言によると、その病院で2週間の内に4つの腎臓が提供され適正検査が行われたが、結果は不適合だった。しかし、のち、病院側からさらに4つの腎臓が提供され、適合したものがあったため、移植手術を行ったという。報告によると、「腎臓の生存時間は24~48時間しかないことから、大型の臓器提供源の存在が考えられる」と述べた。
証人の王暁華氏は、記者会見に参加するために、モントリオールから駆けつけた。王氏は、同報告書で述べられている血液検査などの、理由なき健康検査は実際に行われていると証言した。
王暁華氏は法輪功を修煉しているという理由だけで何度も投獄されたことがあり、獄中で他の法輪功学習者と共に、肉体的および精神的な種々の虐待を受けたという。しかし、2002年1月、拷問された学習者たちが全面的な健康診断を受けさせられたという。報告では、「我々が考慮した各方面の情報を総合してみると、中共当局が行っていることは、臓器狩りの告発を支える証拠になる」と述べた。
第1版の報告書では、1999年の夏より中共当局が法輪功学習者に対する迫害を開始してから、少なくとも41,500件の移植手術が行われ、その際に使用された臓器の出所が不明であると指摘した。報告では、これらの臓器は生きた法輪功学習者からのものとせざるを得ないと結論づけている。追補改訂版では、迫害され死亡した大量の法輪功学習者の遺体から、臓器がなくなっていることが新たに報告書に付け加えられた。
法輪功学習者たちは逮捕・監禁時、身分の確認は行われていないことや、大量の法輪功学習者が行方不明になったことが証拠として挙げられたという。報告書では、「中共当局が主張する臓器の出所が死刑囚からということに対して、反論はできないが、これらの死刑囚は裁判の手続きが行われずに投獄され、罪をなすり付けられた法輪功学習者であることに論争を呼んでいる」と指摘した。
*軍部介入、厖大な利益を獲得
報告書によると、医療システムにおいて、臓器売買は病院を運営するための重要な資金源になっていることから、中国軍部に属する多くの病院は臓器売買によって利益を上げていると指摘した。報告では、北京武警総医院を例としてあげている。「同病院における2003年の臓器移植による収入は1,607万元(約2億3783万円)で、2004年の上半期だけで1,357万元(約2億円)に達しており、年間収入は3,000万元(約4億4400万円)と推測される」と述べた。また、臓器移植患者が一般の病院で手術を受ける時でも、執刀医は軍部の医師であることも調査で分かったという。
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カナダ独立調査団の調査官、人権弁護士のデービッド・マタス氏は1月31日、記者会見にて報告を発表(Matthew Hildebrand/大紀元)
カナダ独立調査団の調査官、人権弁護士のデービッド・マタス氏は1月31日、記者会見にて報告を発表(Matthew Hildebrand/大紀元)
報告によると「中国で臓器移植を行う医師は、国家の干渉がなければ、自由に手術ができる。これらの医師は、独立した監察システムの管理のもとに置かれていない…中国で行われている臓器移植システムは、世界の如何なる国でも合法的なものとは言えない」と指摘した。
報告では、多くの国は未だに臓器移植手術で使用する拒絶反応を軽減する免疫抑制剤を中国へ販売していることも明らかにし、中国で臓器移植を行った患者が臓器の出所が不明であるため、帰国後に適切なアフターケアが受けられず、健康回復に困難を来すことも言及した。
*中国当局、無気力な反応
調査に当たった両氏は、中国政府が同報告書に対する回答を証拠として収録したという。報告では「中国政府が第1版の報告書に対する反応は、殆どが法輪功に対する集中攻撃だった。まさにこの種の攻撃行為が、中国で法輪功学習者の基本人権蹂躙事件が頻発しているのだ」と述べた。中共当局が報告書の中で唯一見つけた誤りが2つの都市名の誤記のみで、それ以外については反論きなかったという。
*各国政府への提案
両調査官は、臓器移植手術ケースが増加しているカナダを例にし、中国への臓器移植手術は病院および仲介を通して行っているという。実際に、トロント、バンクーバー、カルガリーなど地元の病院が、患者を中国へ手術のために送っている。また、バンクーバーの病院では平均にして、月に1人の患者、トロントでは月に20人の患者が中国へ送られ、臓器移植を受けているという。
一方、豪州の臓器移植件数は総体的に下降気味である。豪州政府は臓器移植が必要とする患者に対して「中国では生きた法輪功学習者を対象に臓器狩りしている可能性が高い」ことを警告しているという。調査官のキルガー氏は、カリガリーの病院から、これまでに中国で臓器移植を受けた患者数の確認を急いでいるという。
報告では、各国政府に対して次の提案をあげた。①カナダは国外でも適用される法律を作り、国民が中国での臓器収奪にかかわることを防止すべき②医療機関はこの種の臓器移植患者に対して、海外移植費用および帰国後のリハビリ医療費の請求は拒否すべき③中国からの臓器移植手術の研究成果による海外科学研究刊行物基金の申請は拒否すべき④医療従事者は患者に対して、中国での臓器移植を勧めるべきではない⑤製薬メーカーは中国へ外科移植用の薬物(例えば、免疫抑制剤)の輸出を禁止すべき⑥政府は移植用の類似薬品の中国への輸出を禁止すべき⑦中国へ臓器移植を行った患者らの人数などのデータを作成すべき⑧各国政府は中国へ渡航し臓器移植を行う自国民に対して、「死刑囚と法輪功学習者を含み、中国の臓器提供者の殆どが自らの自由意志によって臓器提供をしていない囚人からのもの」
カナダ独立調査団の調査官で、同政府元大臣のデービッド・キルガー氏は1月31日に記者会見にて報告を発表(Matthew Hildebrand/大紀元)
と警告すべきであることを提起した。
*北京五輪を通じて、暴行を制止する
キルガー氏は「カナダおよび国際オリンピック委員会、各国政府、スポンサーやスポーツ競技者らは自らの心に対して、このような犯罪(臓器狩り)を行っている政府と付き合うことを望んでいるのかを自問すべきだ。こうすることによって、少なくても同犯罪を制止するための圧力になる」と主張した。
キルガー氏は「中国政府は五輪開催地の候補として名乗りを上げた際、五輪開催により中国の人権は良好であることを証明するとした。しかし、現時点でも生きた法輪功学習者を対象にした臓器狩りなど、恐ろしい犯罪と不正が行われており、中国政府の言うことが当てにならないことをまさに説明しているようなものだ。五輪ボイコットで圧力をかければ、中共が犯罪を中止することにつながる」と分析した。
キルガー氏は、中共大使館が同報告書に対して、強く反論し声明を発表できないことは、中共は賢明ではないことを表しているとし、中国の名誉を保つよりも、法輪功学習者に対する迫害を停止することを考慮した方が良いと指摘し、そうしなければ、2008年の五輪開催時に、真相は全世界の民衆の前で暴露されるからだと語った。
キルガー氏は今回の調査報告書にについて、自信に満ちており、中共に対して、この種の反人類罪を直ちに停止するよう呼びかけた。キルガー氏は「世界中の70の国家のうち、69の国々は法輪功を尊重しており、中国だけが法輪功を迫害している。若者で健康な学習者たちは信仰を堅持するために、臓器を強制的に摘出され遺体は消滅された。中国へ臓器移植を行う患者たちは、少なくてもこの事を再度考慮すべきであり、その他の人々もこの犯罪を黙認してはならない」と呼びかけた。
調査報告書の原本(英文)は、次のサイトからダウンロードできます。http://organharvestinvestigation.net
(記者・岳雷、肖剛、周強)
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