安倍新政権、韓国との対話を開始

2007/01/01
更新: 2007/01/01

【大紀元日本1月1日】安倍首相は27日午前、先月初めに就任した韓国・宋旻淳(ソンミンスン)外交通商相と首相官邸で会談、、半島の核問題と拉致問題で引き続き六カ国協議などで努力していくことで共同認識を得た。宋・韓国外相はまた、これに続き同日、麻生外相と外務省飯倉公館で会談、日本側の拉致問題提起について理解を示した。小泉前政権の「靖国問題」「歴史認識問題」などで日韓の対話が途絶えがちであった流れを安倍政権が修復に乗り出し、半島の核問題と拉致問題にメスを入れた格好だ。

北京で行われた前回六カ国協議では、日本側が北朝鮮に対し拉致問題で強硬な立場を採ったのに対し、韓国は金大中政権以来の「太陽政策」を踏襲し、実質的な成果を挙げることはできなかった。日本政府は、6月18日に可決した北朝鮮人権法により、米国と連携して金融制裁を含めて北朝鮮への圧力を日に増しつつあるが、韓国政府は国内に拉致被害者が1000人以上あるとみられるのにもかかわらず、依然としてこの問題に関し消極的な態度を見せており、ノムヒョン大統領は訪米の際に、米ハードライナー・ブッシュ大統領の愁眉の的となった。

12月10~16日の北朝鮮人権週間では、NPO法人「北朝鮮難民救援基金」らの招きにより、脱北者の人権活動家・李・ミンボク氏が来日講演したが、韓国では未だ、一般市民の脱北者への理解は乏しく、政府よりは民間NGOが連携して人権擁護しているのが実情だ。2002年5月に瀋陽の日本総領事館に駆け込んだ「ハンミちゃん家族」も現在は米国に亡命しており、こうした北朝鮮の人権問題に関しては、「日米の連携」がますます国際的に注目され重要になってくるだろう。

北朝鮮は7月5日、日本海に向けて日本全土を射程に入れる「テポドン2」の試射実験により例により国際社会に向けて「恫喝」外交の口火を切ったが、防衛庁(2007年度1月から改編され防衛省)は既に6月から新型レーダー「FPS-XX」の試験運用を千葉県旭市で開始しており、弾道ミサイルの情報探知を開始している。平成15年度に完成した同型レーダーによって収集されたデータは、空自の指揮中枢である航空総体司令部(東京都府中市)に伝送され、米軍の早期警戒衛星、日本海・太平洋に展開する海自のイージス艦らとデータ・リンケージしてミサイルの着弾点を判定する。

2005年9月、マカオ・澳門匯業銀行(バンコ・デルタ・アジア)の北朝鮮口座・2400万米ドル(約28億3200万円)が、偽造紙幣とマネーロンダリングと関連していると目され、米国政府の制裁圧力によりその取引を凍結された。北朝鮮は、米国のこうした金乳制裁以来、金塊をタイへ輸出し、2800億米ドル(約33億円)の外貨を得たが、タイはここ5年間、北朝鮮から金塊の輸入はなかった。 海外メディアの報道によると、北朝鮮は今年の4月に500キロの金塊をタイへ輸出し、その1ヵ月後にさらに800キロの金塊を輸出した。韓国の資料によると、北朝鮮は推定1000から2000トンの金塊を所有しているという。報道ではロンドン金銀市場のスポークスマンの発言を引用し、北朝鮮中央銀行は今年の5月12日に同市場で取引再開したという。北朝鮮中央銀行は1976年に同市場に加入したが、2004年6月に取引が少なかったため、除名されたという。

一方日本でも、安倍政権成立以降、新潟・柏崎港へのマンギョンボン号の入港禁止、マグロ・トロ、松坂牛、スーパードライなどの「贅沢品」を輸出禁止にするなど、金正日総書記が軍と公安の幹部を手懐ける「賜り品」を制限、同時に国内朝鮮総連に対する税制優遇措置を解除し、その送金手続きを監視するなど「拉致問題」の解決に向け経済制裁圧力を高めつつある。

日米を中心としたこうした金融制裁などの「北朝鮮包囲網」が狭まる中で、韓国が自由主義圏に足並みを揃え北への決断を下すのか、それとも従来通り「太陽政策」により平壌政権の延命に手を貸すのか、韓国の次期大統領選が北東アジアにとって重大な岐路になり注目される所だ。また、従来からの韓国の対日外交は、「靖国問題」「歴史認識問題」などで中共当局と基調を同じくしているが、脱北者を強制送還している「北の後ろ盾」が中国であることを勘案すれば、中国・北朝鮮など「北」の陸上勢力に与して、日米といった「南」の海洋勢力に対するのか、それとも「南」に与して「北」に対するのか、いずれにしても「韓国版北朝鮮人権法」が韓国議会を通過するか否かが、その試金石になるとみられ、同時に将来的な方向性が国際社会から問われることになるだろう。